沼田(市)(読み)ぬまた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沼田(市)」の意味・わかりやすい解説

沼田(市)
ぬまた

群馬県北部にある市。1954年(昭和29)沼田町と利南(となみ)、池田(いけだ)、薄根(うすね)、川田(かわだ)の4村が合併して市制施行。2005年(平成17)利根(とね)郡白沢、利根の2村を編入、これにより面積は3倍となった。旧沼田町は利根川左岸の支流片品(かたしな)、薄根の両川の合流する沼田盆地の中心で標高約400メートルの段丘上にある。古くは『和名抄(わみょうしょう)』に渭田(ぬまた)郷、『吾妻鏡(あづまかがみ)』に沼田御牧(みまき)と記され、1532年(天文1)沼田顕泰(あきやす)が段丘面北西端の断崖(だんがい)地形を利用して沼田城を築いてから城下町として発達、江戸時代の真田(さなだ)、本多氏らの支配を経て、幕末まで土岐(とき)氏3万5000石の城下町であった。また利根川上流地方や片品川流域を後背地に、繭、生糸、大豆、薪炭、木材などを扱う4、8日の市場町として発達した。1924年(大正13)上越線が約80メートル低い西側の段丘崖下に開通してから沼田駅付近に新たな市街地ができ、段丘面とはおもにジグザグ状のバス道路で連絡している。国道17号、120号、145号、291号が通じ、関越自動車道の沼田インターチェンジがある。旧利根郡地域の商工業の中心で、工業では製材、木製品に特色がある。農業は米作畜産果樹、野菜栽培が行われ、とくに観光リンゴ園が盛ん。尾瀬や丸沼、奥日光方面へのバスの起点で、迦葉山(かしょうざん)(1322メートル)の登山口でもある。薄根川の支流発知(ほっち)川に大規模な玉原(たまはら)ダムが建設された。東部の利根地区には老神温泉(おいがみおんせん)、吹割渓(ふきわれけい)ならびに吹割瀑(国の天然記念物及び名勝)がある。面積443.46平方キロメートル、人口4万5337(2020)。

[村木定雄]

『『沼田市史』全10巻(1995~2003・沼田市)』


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