沢内(読み)さわうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沢内」の意味・わかりやすい解説

沢内
さわうち

岩手県南西部、和賀郡(わがぐん)にあった旧村名(沢内村(むら))。現在は西和賀(にしわが)町の北部を占める地域。2005年(平成17)同郡湯田町(ゆだまち)と合併して西和賀町となった。秋田県に接する奥羽山脈中の山村であるが、旧村域の中央部には和賀川上流がつくる沢内盆地がある。江戸時代は新町に沢内代官所が置かれ、沢内甚句に「沢内三千石お米の出どこ」と歌われたように、南部藩の隠し田として重要であった。現在は米作のほか、林業、山菜加工、畜産が行われる。ブルドーザーによる除雪でバス運行を図る豪雪地帯であるが、老人医療費無料化、生活習慣病(成人病)総合検診などが行われてきた。重要有形民俗文化財のまたぎ資料を集めた碧祥寺博物館(へきしょうじはくぶつかん)がある。

[川本忠平]

『高橋子績著『沢内風土記』(1976・沢内村郷土史研究会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沢内」の意味・わかりやすい解説

沢内
さわうち

岩手県南西部,西和賀町北部の旧村域。和賀川上流域に位置する。奥羽山脈山懐にいだかれ,真昼山地の東麓にあり,西は秋田県に接する。 1889年村制。 2005年湯田町と合体して西和賀町となった。地名は江戸時代の盛岡藩の行政区域名,沢内通に由来する。江戸時代は沢内代官所があり,米どころであったが,高冷地のため冷害も多かった。農業の多角化が進むなか,花卉園芸,酪農も行なわれている。住民,行政をあげて地域保健医療に取り組んでいることで全国的に知られている。碧祥寺には古い民具やまたぎに関する資料を集めた博物館があり,「沢内の丸木舟」「マタギの狩猟用具」「沢内及び周辺地域の積雪期用具」は国の重要有形民俗文化財に指定されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「沢内」の意味・わかりやすい解説

沢内 (さわうち)

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世界大百科事典(旧版)内の沢内の言及

【地域医療】より


[実践]
 医療の現場では,地域医療ということばが広く使われる以前から,医療に恵まれない農村部において地域医療の実践がなされていた。なかでも有名なのは長野県南佐久郡八千穂村と岩手県和賀郡沢内村の例である。いずれも医師のいない無医村から出発して,今日ではそれぞれ佐久総合病院および沢内病院を有するまでに至っている。…

※「沢内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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