沖野岩三郎(読み)おきのいわさぶろう

精選版 日本国語大辞典 「沖野岩三郎」の意味・読み・例文・類語

おきの‐いわさぶろう【沖野岩三郎】

小説家、童話作家、牧師代表作宿命」「生れざりせば」など。明治九~昭和三一年(一八七六‐一九五六

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沖野岩三郎」の意味・わかりやすい解説

沖野岩三郎
おきのいわさぶろう

[生]1876. 和歌山
[没]1956
キリスト教の牧師。小説家。 1895年和歌山師範学校に学び,小学校教師となり,22歳で校長就任。この間宣教師ヘールによりキリスト教に導かれた。 1904年上京し明治学院神学部に入学。 07年新宮日本基督教会牧師となる。この頃大逆事件における和歌山組の大石誠之助内山愚童,新村忠雄らと親交。 17年上京し作家生活に入り,大石一族題材とした『煉瓦の雨』 (1918) ,大逆事件をテーマにした『宿命』 (19) を発表宗教文学に独自の地歩を築いた。晩年再び牧師に戻り,日本基督教団浅間高原教会初代牧師をつとめた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖野岩三郎」の意味・わかりやすい解説

沖野岩三郎
おきのいわさぶろう
(1876―1956)

小説家。和歌山県の生まれ。青年時代は軍国主義的思想にかぶれていたが、トルストイ感化などによってクリスチャンとなり、1907年(明治40)31歳で明治学院神学部を卒業。牧師としての生活を送るうち大石誠之助(せいのすけ)、幸徳秋水(こうとくしゅうすい)らのアナキストと知り合い、彼らの社会思想の影響を大きく受けた。大逆事件に関係したが逮捕は免れた。42歳のとき、『大阪朝日新聞』に新時代のキリスト者のあり方を描いた長編小説『宿命』(1918)を発表して文筆生活に入る。以後は、社会主義的キリスト者として多くの著述を残した。

[田沢基久]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「沖野岩三郎」の解説

沖野岩三郎 おきの-いわさぶろう

1876-1956 明治-昭和時代の牧師,小説家。
明治9年1月5日生まれ。和歌山県で伝道中,大逆事件にまきこまれる。大正6年,事件を題材にした「宿命」を発表。昭和30年軽井沢に浅間高原教会を設立した。昭和31年1月31日死去。80歳。和歌山県出身。明治学院卒。著作はほかに「煉瓦(れんが)の雨」など。

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