沖縄戦跡国定公園
おきなわせんせきこくていこうえん
沖縄県沖縄本島の南端、糸満市(いとまんし)、八重瀬町(やえせちょう)にまたがる、第二次世界大戦の戦跡を中心に海岸の自然景観を含めた国定公園。1965年(昭和40)琉球政府立公園(りゅうきゅうせいふりつこうえん)として指定されたが、1972年本土復帰と同時に国定公園になった。陸域面積31.27平方キロメートル、海域面積19.33平方キロメートル。この公園内にある戦跡は、沖縄戦最大の激戦および終焉(しゅうえん)の地である。1945年5月のアメリカ軍の猛攻撃によって首里(しゅり)にあった日本軍司令部はこの一帯へと撤退を余儀なくされ、6月司令官牛島満(みつる)中将が摩文仁(まぶに)軍司令部壕(ごう)で自決するまで、激烈な戦闘が繰り広げられた。これを含め沖縄戦では、多くの日本人戦死者があり、とくにその約50%は一般人であった。激戦の跡として摩文仁丘の平和祈念公園には住民の戦争体験を中心に展示した平和祈念資料館(1975年開館)、黎明之塔(れいめいのとう)、健児之塔をはじめ各県の慰霊塔が並ぶ。1995年(平成7)には、沖縄戦で戦死した全犠牲者の氏名が刻まれた記念碑「平和の礎(いしじ)」の除幕式が行われた。平和祈念公園の近隣には、沖縄県立第一高等女学校生部隊の悲劇として名高い「ひめゆりの塔」をはじめ、各所に多くの慰霊塔が建立されている。海岸部は、裾礁(きょしょう)からなるサンゴ礁や、琉球石灰岩からなる断崖(だんがい)や石灰岩堤、鍾乳洞(しょうにゅうどう)などのカルスト地形の発達がみごとである。また、カルスト地域特有の自然植生も認められ、美しい景観を呈し、一年中観光客が絶えることがない。
[目崎茂和]
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沖縄戦跡国定公園
おきなわせんせきこくていこうえん
沖縄県,沖縄島南端,第2次世界大戦の戦跡を中心とし,海岸の自然景観を含む公園。面積 31.27km2。1972年指定。旧沖縄県立第一高等女学校と旧沖縄師範学校女子部の生徒と教師の多数が壕の中で死んだ場所を記念して建立されたひめゆりの塔(→ひめゆり部隊)や健児の塔,島守の塔,魂魄(こんぱく)の塔などのほか,各都道府県ごとに戦没者の霊をまつる塔が立ち並んでいる。喜屋武岬から摩文仁にいたる海岸には隆起サンゴ礁の海岸景観がみられ,イソマツ,テンノウメ,クサトベラなどの群落がある。
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「沖縄戦跡国定公園」の意味・読み・例文・類語
おきなわせんせき‐こくていこうえん おきなはコクテイコウヱン【沖縄戦跡国定公園】
沖縄県、沖縄本島南部にある国定公園。
糸満市、
具志頭(ぐしかみ)村にまたがる。第二次大戦中の沖縄戦最大の激戦および終焉の地。健児之塔、平和祈念資料館などのある摩文仁丘
(まぶにのおか)、ひめゆりの塔などがある。昭和四〇年(
一九六五)琉球政府立公園となり、同四七年の本土復帰と同時に国定公園に指定。
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「沖縄戦跡国定公園」の意味・わかりやすい解説
沖縄戦跡国定公園【おきなわせんせきこくていこうえん】
沖縄県,沖縄島南端にある国定公園。1972年指定。糸満市摩文仁(まぶに)を中心に,東風平(こちんだ)町と具志頭村の一部(2町村とも現・八重瀬町)およびその地先海域で,陸域は31.27km2。太平洋戦争末期沖縄戦の戦跡地で,ひめゆりの塔,牛島中将自決の地摩文仁の丘がある。
→関連項目糸満[市]
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「沖縄戦跡国定公園」の意味・読み・例文・類語
おきなわせんせき‐こくていこうえん〔おきなはセンセキコクテイコウヱン〕【沖縄戦跡国定公園】
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世界大百科事典内の沖縄戦跡国定公園の言及
【糸満[市]】より
…海神祭のハーリーと大綱引は有名。第2次世界大戦最後の激戦地で,黎明の塔,ひめゆりの塔,健児の塔など各種の慰霊塔が立ち,沖縄戦跡国定公園となっている。【田里 友哲】。…
【沖縄[県]】より
…これに比べて歴史都市の首里は首里城跡(史)付近に県立芸術大学,守礼門(県史跡),園比屋武御嶽(そのひやんうたき)石門(重要文化財),玉陵(たまうどん)(史)などの集まる閑静な文教住宅地に変わった。南部の糸満市は漁業の町として知られ,沖縄戦最後の激戦地となった摩文仁(まぶに)岳一帯は沖縄戦跡国定公園となっている。(3)先島 平良(ひらら)市,石垣市,宮古郡,八重山郡の範囲である。…
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