沈降速度(読み)チンコウソクド

化学辞典 第2版 「沈降速度」の解説

沈降速度
チンコウソクド
sedimentation velocity

粘性率ηの気体あるいは液体中で,半径r,質量mの球形粒子が沈降するとき,速度vが増大するとともに媒質による抵抗力fストークスの法則

( f = 6πηrv)
に従い,しだいに増大して重力mgと釣り合うようになる.このときの速度(終速度)を v0 とすれば,

となる.ρ1 および ρ2 はそれぞれ粒子および媒質の密度で,gは重力の加速度である.この関係から,v0 とηを知ればrが求められ,rv0 とがわかればηが求められる.ρ1ρ2 との差が小さい場合や,rが小さいときには v0 は小となり測定困難となるが,この場合でも遠心力によって強制的に沈降させることができる.遠心機の回転軸から粒子までの距離をx,回転の角速度をωとすると,遠心力による加速度は ω2xで与えられるから,式(1)のgのかわりにこれを用い,

v0 = dx/dt
とおけば次の関係が導かれる.

ここで,Mは粒子を1個の分子とみなしたときの分子量MmNANAアボガドロ定数x1x2 は時刻 t1t2 における粒子の位置,Vは粒子の部分比体積である.D拡散係数

D = 4πηrNA
で与えられる.また,沈降定数

Sv0/(ω2x)
を用いて,

を導くことができる.これをスベドベリの式(Svedberg's equation)という.[別用語参照]沈降速度法

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「沈降速度」の意味・わかりやすい解説

沈降速度 (ちんこうそくど)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沈降速度」の意味・わかりやすい解説

沈降速度
ちんこうそくど
sedimentation velocity

重力場または遠心力場によって,粘性流体中を粒子が沈んでいく速度。沈降速度を測定することによって高分子の分子量を求めることができる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沈降速度の言及

【沈降】より

…このような現象を自由沈降free settlingという。同じ密度の粒子間で,粒子径の大きいほうが小さい粒子より速く沈む現象は,沈降速度sedimentation velocityの差によるものである。いま粒子が流体中にあって,重力と浮力および粒子に働く抵抗力とがつり合った場合,粒子は流体中を一定速度で沈んでいくが,このときの速度vは次式で与えられる。…

※「沈降速度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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