江村北海(読み)えむらほっかい

精選版 日本国語大辞典 「江村北海」の意味・読み・例文・類語

えむら‐ほっかい【江村北海】

江戸中期の朱子学者。本姓伊藤。名は綬(じゅ)播磨の人。京都で修学し、宮津青山氏に仕える。著「楽府類海」「日本詩選」など。正徳三~天明八年(一七一三‐八八

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デジタル大辞泉 「江村北海」の意味・読み・例文・類語

えむら‐ほっかい〔‐ホクカイ〕【江村北海】

[1713~1788]江戸中期の儒学者・漢詩人。名は綬。播磨はりまの人。宮津藩に仕えたが、のち退任し、京都に住み、漢詩文普及に尽くした。著「日本詩史」「日本詩選」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「江村北海」の意味・わかりやすい解説

江村北海 (えむらほっかい)
生没年:1713-88(正徳3-天明8)

江戸中期の漢詩人。京都の人。名は綬,字は君錫,通称は伝左衛門,北海は号。儒者伊藤竜洲次男に生まれ,京都の儒家の名門であった江村家の養子となった。兄の伊藤錦里,弟の清田儋叟(せいだたんそう)とともに学者3兄弟として知られる。伊藤家も江村家も家学は朱子学であったが,朱子学を強く宣布するという家風ではなく,北海も養父のあとをついで美濃郡上藩の儒官にはなったが,その活動は儒学よりも漢詩文に傾斜していた。それも詩文の実作にすぐれた才能を示したわけではなく,家塾の賜杖堂(しじようどう)において多くの門人に詩文を教授し,また上代から当代までの漢詩史《日本詩史》(1771)を著し,当時の人々の漢詩を広く採集した《日本詩選》(1774)を編纂するなどの,啓蒙著述の活動に本領があり,上方に漢詩文が普及するうえで大きな役割を果たした。漢学入門の手引書《授業編》(1783)など,他にも多くの著述がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江村北海」の意味・わかりやすい解説

江村北海
えむらほっかい
(1713―1788)

江戸中期の儒学者、漢詩人。名は綬(じゅ)、字(あざな)は君錫。京都の人。儒学者伊藤龍洲(いとうりゅうしゅう)(1683―1755)の二男で、同じ京都儒学界の名門江村氏を継いだ。兄の伊藤錦里(きんり)(1710―1772)、弟の清田儋叟(せいたたんそう)(1719―1785)とともに俊才として聞こえた。学統は朱子学で、独自の見識には乏しいが、穏健な学風で多くの門人を育てた。詩文にも関心が深く、当時の漢詩壇では盛唐詩の模倣に徹する古文辞派の詩風が有力であったが、これの行き過ぎを是正する立場から『日本詩史』『日本詩選』を著し、漢詩を日本の風土に定着させるのに功績があった。

[日野龍夫 2016年4月18日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「江村北海」の解説

江村北海 えむら-ほっかい

1713-1788 江戸時代中期の儒者,漢詩人。
正徳(しょうとく)3年10月8日生まれ。伊藤竜洲の次男。江村毅庵(きあん)の養子となり,その跡をつぎ丹後(京都府)宮津藩につかえ,京都留守居役をつとめる。京都で詩の結社「賜杖堂(しじょうどう)」をつくった。「日本詩史」「日本詩選」の著書で知られる。天明8年2月2日死去。76歳。播磨(はりま)(兵庫県)出身。名は綬。字(あざな)は君錫。通称は伝左衛門。著作はほかに「授業編」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江村北海」の意味・わかりやすい解説

江村北海
えむらほっかい

[生]正徳3(1713).播磨
[没]天明8(1788).2.2.
江戸時代中期の朱子学派の儒者。福井藩の儒者伊藤龍洲の子。宮津藩儒として経史を講じた。のち京都に隠棲,詩作にふける。著書『日本詩史』 (1771) ,『楽府類海』。

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367日誕生日大事典 「江村北海」の解説

江村北海 (えむらほっかい)

生年月日:1713年10月8日
江戸時代中期の漢詩人
1788年没

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世界大百科事典(旧版)内の江村北海の言及

【日本詩史】より

…漢詩史書。江村北海著。1771年(明和8)刊。…

※「江村北海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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