江戸川紙(読み)エドガワガミ

デジタル大辞泉 「江戸川紙」の意味・読み・例文・類語

えどがわ‐がみ〔えどがは‐〕【江戸川紙】

明治初期、現在の東京都文京区の江戸川付近で作られた良質の手漉てすき紙。主に書簡用の巻き紙とした。

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精選版 日本国語大辞典 「江戸川紙」の意味・読み・例文・類語

えどがわ‐がみ えどがは‥【江戸川紙】

〘名〙 和紙一種。明治の初期、今の東京都文京区を流れる江戸川付近で製された手すき紙。三椏(みつまた)を主材料とし、面が平滑光沢があるので、証券用紙などに使われたが、のち、おもに書簡用。
※或る女(1919)〈有島武郎〉後「江戸川紙の大きな封書が現はれ出た」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸川紙」の意味・わかりやすい解説

江戸川紙
えどがわがみ

東京・小石川の江戸川(神田川)のほとりで1868年(明治1)から製造された和紙。この付近は掘り井戸の揚水量も多く、水質もよいので、ミツマタ(三椏)を主原料とした改良漂白法による白色でしかも良質の半紙が抄造され、江戸川半切(はんせつ)の名で人気を得た。そして製紙業は、『新撰(しんせん)東京名所図絵』(1906)にも載るほどの盛況を呈した。しかし機械漉(ず)きの洋紙が出回るころから急速に衰退し、大正末期には姿を消した。

[町田誠之]

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