江戸図鑑綱目(読み)えどずかんこうもくこん

日本歴史地名大系 「江戸図鑑綱目」の解説

江戸図鑑綱目(坤)
えどずかんこうもくこん

一二四×一三六センチ 木版手彩 石川流宣 元禄二年 都立中央図書館・東京都公文書館ほか蔵

解説 乾坤の二部からなり、乾は序・方角図・番町図・異名・寺社名・諸芸・諸職・商人・役者名鑑などを載せる冊子で坤が一枚の地図。先行の表紙屋や林氏に倣い、図隅に目黒不動板橋宿・木母寺の絵を描き、また一隅に江東図を置いて左下余白に大名武鑑を入れ、さらに浮世絵師らしく門・櫓・橋・寺・社・船などを多彩に描く。序でも分間にこだわるのは無益といい、縮尺重視の寛文図系へのアンチテーゼを主張するが、明暦図以前に戻れるわけはなく正確な五枚図の縛りからは逃れられなかった。ただ市街認識作図法として、流宣の意図とは別に偶然ながら、のち切絵図で実測しない見取図の歪みが復活し、人気を博する。元禄期前半の数年間の刊行で、分道・分間の大絵図に天明まで引継がれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報