日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
江原道(朝鮮民主主義人民共和国)
こうげんどう / カンウォンド
北朝鮮の南東部にある道。朝鮮戦争以来、韓国と分断され、現在に至っている。北朝鮮管轄下は面積約1万平方キロメートル。朝鮮半島の脊梁(せきりょう)山脈である太白(たいはく/テペク)山脈が半島の東海岸(日本海側)に寄りながら南北に延び、西部は低山性の阿虎飛嶺(あこひれい)山脈と馬息嶺山脈が南北方向へ走っている。これらの山脈に沿い、北漢江と臨津江(りんしんこう/リムチンカン)が南方へ、南大川が北方へ流れている。平均気温は10℃内外、年降水量は1300ミリメートルで、同緯度上の他の地域より多い。道庁所在地は元山(げんざん/ウォンサン)。
産業は広い山間盆地における畑作物や河川流域の米作が主であったが、行政区画の改編によって咸鏡南道(かんきょうなんどう/ハムギョンナムド)から編入された元山、文川と安辺地域は国内有数の工業地帯となっている。元山の機関車工場、造船所、川内(せんだい)郡の川内里セメント工場、文川郡の鉛・亜鉛の文坪(ぶんへい)製錬所など、重工業が行われている。このほか元山、文川の機械工業がある。鉱山資源は柯銀(かぎん)鉱山の鉛・亜鉛、法洞鉱山のタングステン、昌道鉱山の硫化鉄、鉄原鉱山のマンガン採掘が行われている。水産業は北朝鮮第三の漁獲量があり、文川、元山、通川、高城の水産事業所ではサバ、メンタイ(スケトウダラ)、ニシン、カレイなどの水揚げがある。農業はトウモロコシ、大豆、小麦などの畑作物が主で、養蚕業も行われている。
[魚 塘]