江原道(大韓民国)(読み)こうげんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「江原道(大韓民国)」の意味・わかりやすい解説

江原道(大韓民国)
こうげんどう / カンウォンド

韓国(大韓民国)の北東部にある道。朝鮮戦争以来、北朝鮮と分断状態で現在に至っている。韓国の管轄下は面積1万6571.83平方キロメートル、人口148万4536(2000)。地形は東方に傾き、東に急傾斜、西に緩傾斜という傾動地塊をなす。太白(たいはく/テペク)山脈は新生代第三紀から褶曲(しゅうきょく)と断層運動を伴いながら徐々に隆起し、山頂や山腹に旧侵食面である平坦(へいたん)面が発達している。15度以上の急傾斜地が3分の2を占め、平地が少ない。南部の三陟(さんちょく/サムチョク)、寧越(ねいえつ/ニョンウォル)などには石灰岩が分布し、カルスト地形が発達している。金剛山(こんごうさん/クムカンサン)に源を発する北漢江は南流し、昭陽江、洪川江を合流して京畿道(けいきどう/キョンギド)に流入する。南漢江は五台山(ごだいさん/オデサン)に発し、平昌江、酒泉江などを合流して寧越付近で忠清北道(ちゅうせいほくどう/チュンチョンブクド)に流入する。これらの河川は、流域春川(しゅんせん/チュンチョン)、洪川、原州などの侵食盆地を形成した。東側は大きな河川がなく、海岸線が単調であり、砂浜海岸には青草湖、鏡浦湖などの潟湖(せきこ)、岩石海岸には海食崖(がい)と海岸段丘などが発達した。気候は全般的に寒冷である。太白山脈の東方が西方に比べて気温が高く降水量が多く、とくに冬に降雪が多い。道庁所在地は春川。

 農業は畑作が中心で、主要農産物はトウモロコシ、ジャガイモなどである。大関嶺地域では、高冷地農業と大規模経営の牧畜が盛んである。沿岸は寒暖流が会合して、よい漁場をなす。水力資源が豊富であり、三陟、旌善(せいぜん/ジョンソン)、寧越などの石炭は全国の70%前後を占有し、上東(じょうとう/サンドン)のタングステンは世界的である。三陟、東海(とうかい/トンヘ)、寧越などでは、セメント、鉄鋼、油脂など重化学工業中心の太白山工業地帯をなす。1980年代よりエネルギーの需給の変化や環境問題などによる炭鉱の閉山が相次ぎ、炭鉱産業の衰退が進んだ。嶺東高速道路と東海高速道路の開通、産業鉄道の電化などで交通が便利になった。雪岳山国立公園、五台山国立公園、関東八景、海水浴場など観光資源が豊富である。

[森 聖雨]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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