(読み)よごす

精選版 日本国語大辞典 「汚」の意味・読み・例文・類語

よご・す【汚】

〘他サ五(四)〙
① きたなくする。けがす。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一〇「皆灰水と為(な)して浸爛(ヨコシ)て銷(け)し尽して余有ること无くあらしめむ」
② 名誉や貞操などをきずつける。
浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)三「よしやゐんぐよかりのわざおっとの名をも我身をも、けがさじすてじよごさじとそもや勤のはじめより」
③ へたな字で紙をきたなくする意から、書くことを謙遜していう。
※彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉一「拙い筆をふるって書幅色紙をよごしているのだが」
④ あえる。まぶす。「胡麻でよごす」

よご・れる【汚】

〘自ラ下一〙 よご・る 〘自ラ下二〙
① きたなくなる。不潔になる。けがれる。
※相模集(1061頃か)「早苗ひき裳裾よこるといふ田子も吾がこと袖はしほとからしな」
② けがらわしくて、いやになる。いとわしく感じる。
※米沢本沙石集(1283)一〇本「大臣になさるべき宣旨を聞て、耳がよごれて覚えつれば、潁川にてすすぎて帰る也」
③ 不名誉、不都合なことが記される。
※街道記‐ささやま街道(1956)〈井伏鱒二〉「丈夫で、しかも技術がすぐれ、戸籍がよごれてゐないものでなくては資格がない」
月経になる。

よごし【汚】

〘名〙 (動詞「よごす(汚)」の連用形名詞化)
① よごすこと。また、よごれること。多く他の名詞の下に付けて用いる。「口よごし」「面(つら)よごし」など。
※寛永十年刊本無門関鈔(17C前)上「三頓の棒とは、三処で二十棒づつ打てくれうづれども、棒よごしな程に放ぞ」
② あえものをいう、女房詞。よごしもの。
※女中言葉(1712)「よこし あへ物の事」

よごれ【汚】

〘名〙 (動詞「よごれる(汚)」の連用形の名詞化)
① よごれること。きたなくなること。また、よごれたあと。けがれ。汚染
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「据風呂もしゃんしゃん懸湯取って加減見て、旅のよごれの暁は七つ立か八つ立か」
② 月経。月のさわり。けがれ。

きたな‐・む【汚】

〘他マ四〙 きたないと思う。けがらわしいとしてきらう。つまらないものとして軽蔑する。きたなぶ。
※法華経玄賛保安三年点(1122)「法汙(キタナム)(〈別訓〉けがらひとする)」
※俳諧・蟻つか(1770)上「竹の子や厠に生へてきたなまれ」

きたな‐・ぶ【汚】

〘他バ四〙 =きたなむ(汚)
※大智度論天安二年点(858)三五「菩薩見已りて、即便ち穢厭(キタナヒ)

よご・る【汚】

〘自ラ下二〙 ⇒よごれる(汚)

きたな・し【汚】

〘形ク〙 ⇒きたない(汚)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「汚」の意味・読み・例文・類語

お【汚】[漢字項目]

常用漢字] [音](ヲ)(漢) [訓]けがす けがれる けがらわしい よごす よごれる きたない
よごす。よごれる。きたない。「汚水汚染汚濁汚物汚穢おわい・おあい
行為評判などをけがす。けがれる。「汚職汚辱汚点汚名汚吏

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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