汎愛派(読み)はんあいは(英語表記)Philanthropisten ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「汎愛派」の意味・わかりやすい解説

汎愛派
はんあいは
Philanthropisten ドイツ語

ドイツのJ・B・バゼドウが創設した汎愛学院Philanthropinを中軸にして教育活動、教育運動を展開した人々。バゼドウはルソーの自然主義の影響を受け、人類愛に基づく教育改革の必要性を訴え、1774年デッサウにこの学院を開いた。この学院は子供の自由を尊重し、子供の発達段階と生活経験に即した教授活動を重視した。楽しく学習できる教育内容や教育方法をくふうし、遊び、実物、実科、工作体操、野外活動を取り入れた。この学院の教師Ch・G・ザルツマンも同じ趣旨の学校をシュネッペンタールに設立し、自ら校長として小規模で家族的雰囲気の学校経営にあたった。またザルツマンは『カニの小本』『アリの小本』を著し、両親の教育観や子供観を啓発する活動をした。このほか、女子汎愛学院を設立したE・C・トラップ、汎愛派の教育思想を体系化したJ・カンペ、体育地理教育グーツムーツ、地理教育のK・リッターらがいる。

[白石克己]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「汎愛派」の意味・わかりやすい解説

汎愛派
はんあいは
philanthropists

18世紀のドイツで啓蒙主義的運動を展開した J.バゼドー中心とするグループ。 J.-J.ルソーの教育説を受け,人類愛,徳性培養功利主義に立つ訓育主張。ドイツ各地に寄宿学校を建てた。

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世界大百科事典(旧版)内の汎愛派の言及

【バゼドー】より

…ドイツの教育家,汎愛派の創始者。ハンブルクに生まれ,ライプチヒ大学で神学を修めた後,家庭教師,リッター・アカデミーやギムナジウムの教師を経験したが,1768年,彼を一躍有名にした《学校と学問および公共福祉へのそれらの影響に関する博愛家および資産家への提言》を公表,次いで70年《父母のための方法書》を刊行した。…

※「汎愛派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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