水飯(読み)スイハン

デジタル大辞泉 「水飯」の意味・読み・例文・類語

すい‐はん【水飯】

乾飯ほしいいまたはいいを水に浸したもの。湯漬けに対するもので、夏に食べる。みずめし。 夏》「―に浅づけゆかし二日酔樗良
「―して参り給へど、御目ふたぎて見にだに見給はぬは」〈宇津保・国譲中〉

みず‐めし〔みづ‐〕【水飯】

すいはん(水飯)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「水飯」の意味・読み・例文・類語

すい‐はん【水飯】

〘名〙 古くは乾飯(ほしいい)冷水氷水に漬けて食用にするもの。後世は柔らかくたいた飯を冷水で洗って白っぽくしたものをいう。夏の食用とする。みずめし。水づけ。水飯漬け。《季・夏》
※宇津保(970‐999頃)国譲中「すいはんしてまゐり給へど、御目ふたぎて見にだに見給はぬは」
今昔(1120頃か)二八「冬は湯漬、夏は水漬にて、御飯を可食き也、〈略〉水飯食て見せむ」 〔伍喬‐僻居謝何明府見訪詩〕

すい‐は【水飯】

〘名〙 「すいはん(水飯)」の撥音「ん」の無表記。
蜻蛉(974頃)中「水やりたる樋のうへに、折敷どもすゑて、ものくひて、手づからすいはなどするここち、いとたちうきまであれど」

みず‐めし みづ‥【水飯】

〘名〙 =すいはん(水飯)《季・夏》

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普及版 字通 「水飯」の読み・字形・画数・意味

【水飯】すいはん

水粥。

字通「水」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の水飯の言及

【茶漬】より

…飯に茶をかけたもの。飯に水をかけて食べる水飯(すいはん)や湯をかけて食べる湯漬(ゆづけ)は古くから行われており,《源氏物語》その他の平安期の文学作品にもしばしば名が見られる。室町時代にはむやみに湯漬が愛好されたが,これは足利義政が酒に酔ったとき飯に湯をかけて食べたことから,世上一般に広まったなどといわれ,供宴においての湯漬の供し方や食べ方についての約束事さえ設けられる始末であった。…

【飯】より

…ほかに,各種の茶漬,握りずしや押しずしなどのすし,ウナギ丼その他の丼物()といった日本独特の米飯料理も行われている。なお平安時代から,夏は冷水をかけて食う水飯(すいはん),その他の季節には湯をかけて湯漬(ゆづけ)にすることも多かった。とくに室町時代には湯漬が愛好され,その食べ方の作法が多くの故実書に記されている。…

※「水飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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