精選版 日本国語大辞典 「水鉄砲」の意味・読み・例文・類語
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玩具の一種。竹の節に小さな穴をあけ,棒に布をまいたものをピストンとして一方からさし込み,水中でピストンを引くと水が竹筒の中に入るので,これを手に持ち,再びピストンを押すと水が勢いよくとび出す。木で角型のものをつくることもできる。ブリキ製でピストル型のものが流行したこともあり,最近はプラスチック製が多い。その起源は明確でないが《太平記》に〈火矢を射れば水弾(みずはじき)にて打消〉〈投松明のさきに火を付けて,水弾をもって油を滝の流るるようにかけ〉とあり,ここにいう水弾の形状については不明としても,それはポンプ型式のものであったと推察される。江戸中期の《誹風柳多留》には〈水鉄砲をつるべ打つ事〉とあり,近松の《曾我会稽山》には〈こしょうからしの水鉄砲〉と出てくるので,そのころにはすでに庶民の生活圏に入り込んでいたことが知られる。それがやがて遊具化され,子どもの世界に継承されるようになった。
執筆者:半澤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
吸上げポンプの理論を応用した水物玩具(がんぐ)。江戸時代享保(きょうほう)年間(1716~36)、江戸の町に町火消(まちびけし)が整備されてから、その火消し道具をまねた玩具が登場した。これもその一つで水はじきとよばれ、子供たちに愛用された。竹筒に裂(きれ)を巻いた棒を差し込み、また引き上げて水をはじき出して遊ぶ。最初は手製であったが、のちには木製のものが商品化された。まず名古屋でヒノキ製のものが売り出された。続いて明治の中ごろにブリキ製が現れた。これらは竜吐水(りゅうどすい)(江戸時代の消火ポンプ)と鉄砲の中間的構造であった。以後ブリキ、ゴム、プラスチック製などが登場した。ピストル形の水ピストル(ピストルポンプ)もある。
[斎藤良輔]
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