水野祐(読み)みずのたすく

世界大百科事典(旧版)内の水野祐の言及

【王朝交替論】より

…かつて津田左右吉が,《古事記》《日本書紀》には,仲哀天皇と応神天皇の間で一つの段落があり,仲哀以前は天皇の系譜が父子相承となっていたり,天皇の称号だけで諱(いみな)を欠いているなど,実在性に乏しく,6世紀の帝紀(ていき)に記されていたのは,応神より後の天皇であろうとしたことにはじまる。その後,林屋友次郎によって,〈応神新王朝論〉が説かれ,応神以前の天皇は存在しないとされ,水野祐は,仲哀以前を〈古王朝〉,応神以後を〈中王朝〉とし,邪馬台国と戦った狗奴国が東遷して,この〈中王朝〉を形成したと考え,いわば江上波夫が,大和の王朝を騎馬民族の征服によって生まれたとした騎馬民族説をさらに進め,〈ネオ騎馬民族説〉とでもいうべきものを主張した。他方で,〈古王朝〉は大和三輪にあり,〈中王朝〉は河内に成立し,河内王朝が三輪王朝を征服したという説もあらわれた。…

【紀年論】より

…また崩年干支は景行,垂仁,安康,清寧,顕宗,仁賢,武烈,欽明,宣化の各天皇記には存在しない。このことから末松保和は崩年干支を各天皇記から切りはなして一連の史料群と考えたが,水野祐は逆に崩年干支の存否をもって天皇の実在・非実在の論拠とし,有名な三王朝交替説を提唱した。以上のように《日本書紀》の紀年よりも古く,また信じられてきた《古事記》崩年干支も,倭の五王の比定年代と必ずしも整合せず,また欽明天皇に崩年干支がないことからなお史料批判を要するものである。…

※「水野祐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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