水月(読み)すいげつ

精選版 日本国語大辞典 「水月」の意味・読み・例文・類語

すい‐げつ【水月】

〘名〙
① 水と月。
※凌雲集(814)贈賓和尚〈嵯峨天皇〉「水月尋常冷空性、風雷未敢動安禅」 〔盧仝‐風中琴詩〕
水面に映る月影。また、万物には実体がなく、空であることのたとえにも用いる。
※凌雲集(814)遊寺小野永見〉「水月非真暁、空花是偽春」 〔唐太宗‐大唐三蔵聖教序
軍陣で、敵、味方が接近して対すること。
近世、「水」を「粋」に、「月」を「瓦智(がち)」に当てて、粋と野暮とを対比した語。また、「水」は遊女、「月」は客に当てるともいう。
みぞおちのこと。
曠野(1964)〈庄野潤三〉四「こうして右手の拳で水月を狙う」

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デジタル大辞泉 「水月」の意味・読み・例文・類語

すい‐げつ【水月】

水と月。
水面に映る月影。「江上の水月」「鏡花水月
人体急所の一。みずおち。
軍陣で、水と月が相対するように、両軍が接近してにらみ合うこと。

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普及版 字通 「水月」の読み・字形・画数・意味

【水月】すいげつ

水中の月。〔滄浪詩話、詩弁〕人、~其の妙處は、徹(とうてつ)玲(れいろう)、~水中の中の象の如く、言盡くるるも、窮り無し。

字通「水」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の水月の言及

【当身技】より

…当(あて),当身,当技(あてわざ)ともいう。人体の急所とされる天倒(てんとう)(頭頂部),烏兎(うと)(みけん),霞(かすみ)(こめかみ),人中(じんちゆう)(鼻下),水月(すいげつ)(みぞおち),明星(みようじよう)(下腹部),電光(でんこう)(右ひばら),月影(げつえい)(左ひばら),釣鐘(つりがね)(睾丸),ひざ関節などを,こぶし,指先,ひじなどで突いたり,こぶし,手刀などで打ったり,ひざ,蹠頭(せきとう),かかとなどでけったりして相手に苦痛をあたえ参らせる技である。現在は乱取(らんどり)(自由練習)や試合における勝敗が中心となり,投げ技と固め技だけが使われ,当身技は危険であるので禁じられているため,活用がおろそかになっている。…

※「水月」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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