水性ガス反応(読み)スイセイガスハンノウ

化学辞典 第2版 「水性ガス反応」の解説

水性ガス反応
スイセイガスハンノウ
water gas reaction

赤熱したコークス水蒸気を還元して,H2CO主成分とする水性ガスを得る反応の総称

 (1) C + H2O → CO + H2

 (2) C + 2H2O → CO2 + 2H2

 (3) CO + H2O CO2 + H2

(1),(2)はいちじるしい吸熱反応で,1000 ℃ 以上では平衡はほとんど右へ偏り,実際には不可逆反応とみられる.反応の続行には熱の補給が必要で,水蒸気と空気とを交互に吹き込む(ブロー工程),炭素の燃焼熱によりこれを行う.(3)は水性ガスシフト反応という.この反応は低温ほど完全に進行するから,高温および低温の2段階に分けて行っている.1段階目は常圧あるいは加圧下,400~500 ℃,Fe2O3-Cr2O3触媒を用いて行い,ついで2段階目は200~250 ℃,CuO-ZnO-Cr2O3触媒を用いて行う.CO2はエタノールアミン溶液,炭酸カリウム溶液などに吸収除去する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の水性ガス反応の言及

【発生炉ガス】より

…すなわち, C+CO2=2CO-38.2kcal ……(1)  C+H2O=CO+H2-28.4kcal ……(2) さらに炉の下部の酸化層(1000~1200℃)ではコークスの燃焼反応が起こる。 C+O2=CO2+97kcal C+1/2O2=CO+29.9kcal 石炭のガス化炉中ではそのほかに多くの反応が起こるが,とくに反応(1)を発生炉ガス反応,(2)を水性ガス反応と呼ぶ。 上述の伝統的なガス化炉形式を今日も採用している石炭ガス化炉としては,ルルギ炉が著名であり,これは反応工学では移動層型ガス化炉と呼ばれる。…

※「水性ガス反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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