水口(読み)みずくち

精選版 日本国語大辞典 「水口」の意味・読み・例文・類語

みず‐くち みづ‥【水口】

〘名〙 (「みずぐち」とも)
① 水を引き入れる口、または落とす口。水の出る口。みなくち。
日葡辞書(1603‐04)「Mizzuguchi(ミヅグチ)
※俳諧・犬子集(1633)一「水口にとくるや今朝の氷餠〈春可〉」
② 台所の水をくみ入れる口。また、台所。
※歌舞伎・浮世柄比翼稲妻(鞘当)(1823)大切「大柱、吊り物にて水口を見せ」

み‐な‐くち【水口】

[1] (「な」は「の」の意) 川をせきとめて田へ水を引き入れる口。みずくち。
伊勢物語(10C前)二七「みなくちに我や見ゆらんかはづさへ水の下にて諸声になく」
[2] 滋賀県甲賀市の地名。江戸時代は東海道五十三次土山と石部の間の宿駅加藤氏二万五千石の城下町として発達。茶・干瓢産地で、近年電気・化学工場が進出水口神社などがある。
浮世草子・色里三所世帯(1688)下「勢田うなぎに身をやしなひ、水(ミナ)口の泥鰌汁も此たびのためならん」

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デジタル大辞泉 「水口」の意味・読み・例文・類語

みず‐ぐち〔みづ‐〕【水口】

《「みずくち」とも》
水を引き入れたり、放出したりする口。みなくち。
台所の水をくみ入れるための口。また、台所。
「―のガラス戸に、日ざしがくっきりと」〈万太郎・露芝〉

みなくち【水口】

滋賀県南東部、甲賀こうか市の地名。近世は加藤氏の城下町、東海道宿場町住宅地・工業地化が進む。

み‐な‐くち【水口】

《「な」は「の」の意の格助詞》田に水を引き入れる口。みずぐち。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口
みなくち

滋賀県南部、甲賀郡(こうかぐん)にあった旧町名(水口町(ちょう))。現、甲賀市の一地区。1894年(明治27)町制施行。1955年(昭和30)貴生川(きぶかわ)町と伴谷(ばんだに)、柏木(かしわぎ)の2村を合併。2004年(平成16)土山(つちやま)町、甲賀(こうか)町、甲南(こうなん)町、信楽(しがらき)町と合併、甲賀市となる。旧町域は、野洲(やす)川中流域の段丘に位置している。中心地区は、近世は加藤氏2万5000石の城下町、また東海道の宿場町として繁栄した。現在も3筋の道路からなる紡錘形の特殊な町並みをしている。JR草津線、信楽高原鐵道、近江鉄道(おうみてつどう)本線や国道1号、307号などが通じる。近江米、チャ栽培などの農業が主体であったが、近年は各種の工業の進出や住宅地化が著しい。水口茶、水口かんぴょう名産。八坂(やさか)神社本殿など国指定重要文化財が多い。水口城跡および水口城資料館、庭園が有名な大池(だいち)寺、甲賀市水口歴史民俗資料館、総合運動施設「水口スポーツの森」などがある。

[高橋誠一]

『『水口町志』上下(1960・水口町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口
みなくち

滋賀県南部,甲賀市中北部の旧町域。野洲川と杣川(そまがわ)の合流点付近に広がる。1894年町制。1955年貴生川町,伴谷村,柏木村の 1町 2村と合体。2004年土山町,甲賀町,甲南町,信楽町と合体して甲賀市となった。中心地区の水口は,江戸時代は東海道の宿場町,加藤氏の城下町として発展。今日では甲賀地方の行政,商業の中心地で,1960年代に電機部品,化学などの工場が進出。1973年水口丘陵に工業団地が建設された。農村部では近江茶,かんぴょうを産し,檜皮(ひわだ)細工は特産。水口城跡のほか,大岡寺,八坂神社などがあり,大池寺は庭園で有名。一部は三上・田上・信楽県立自然公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「水口」の意味・わかりやすい解説

水口 (みなくち)

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事典・日本の観光資源 「水口」の解説

水口

(滋賀県甲賀市)
東海道五十三次」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の水口の言及

【水口祭】より

…稲作儀礼の一つで,一年の豊作を祈願して苗代(なわしろ)に種もみをまいた日に水口で行う。水口は水田への水の取入口で,ここに土を盛り季節の花や木の小枝を立てて焼米を供える。…

【柏木御厨】より

…中世の伊勢神宮領の御厨(荘園)。現在の滋賀県甲賀郡水口町の西北部にあった。12世紀初期に源義光が柏木・山村両郷を摂関家の牧として寄進したのに始まると伝えるが,1165年(永万1)に伊勢外宮領として立荘された。…

※「水口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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