水利権(読み)すいりけん

日本大百科全書(ニッポニカ)「水利権」の解説

水利権
すいりけん

水を排他的、独占的に使用することができる権利。水の配分は水利権に基づいて行われる。水利権の内容は、一定の時期に一定量の水を取水することである。水利権の衝突調整の方法としては、古田優先、上流優先、既得権優先など、種々のルールがある。水利権は一般に慣行または許可により成立する。慣行水利権は、おもに農業用水確保のために地方の慣行として固定化したものが、権利として承認されたもので、今日では河川法の許可を与えられたものとみなされている。工業・上水道用水の水利権は河川法第23条による流水占用の許可により与えられる。新規の水利権は既得の水利権を害しないことを条件に与えられる。今日水需要が増加する一方、灌漑(かんがい)用水権が宅地化の進展とともに余っているという現状に照らし、水利権相互の調整ないし慣行水利権の合理化の考え方のもとに、農業水利権を都市・工業用水に振り向けるべきものとの意見も有力になっている。

[阿部泰隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「水利権」の解説

水利権
すいりけん

私人の土地所有権に含まれないの流水を排他的,継続的に使用する権利。水利権には,農業水利権を中心とする,古くから慣行によって成立してきたもの (慣行水利権) と,近時その重要性を増しつつある発電,工業,都市上水道水利権などを中心とする,公流水管理者である行政庁の許可によって成立するもの (許可水利権) とがあり,各水利権の間の調整をめぐっては困難な問題が多い。多くの場合,水利権は河川法などの公法による規制を受けるが,権利自体は一種財産権と考えられ (たとえば特定多目的ダム法 20) ,独立に取引の対象となりうるとともに,物権効力をもつものとして,他人侵害に対しては妨害排除請求が認められている。慣行水利権は,入会団体と同様の水利団体が有し,権利の内容も慣行に支配されている場合が少くなく,水利権の取扱いを一層複雑なものにしている。

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百科事典マイペディア「水利権」の解説

水利権【すいりけん】

公水,ことに河川の水を灌漑(かんがい)・流木・発電・飲料・鉱工業等のために継続的・排他的に使用する権利。水流利用権,用水権とも。水利慣行によって成立するものも少なくないが,河川法上の河川および準用河川においては河川管理者である官庁の許可によってだけ生ずる。その性質について私権と解するものと公権と解するものとがあるが,いずれにしろ水利権は財産権の一種であり,その侵害に対し妨害排除・損害賠償の請求ができ,取引の客体ともなる。
→関連項目相論/争論

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精選版 日本国語大辞典「水利権」の解説

すいり‐けん【水利権】

〘名〙 河川や湖沼などの水を、灌漑(かんがい)、発電、水道、流水などの目的のために継続的、独占的に使用できる権利。慣行によって成立する慣行水利権と、河川管理者の許可によって成立する許可水利権とがある。用水権。

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デジタル大辞泉「水利権」の解説

すいり‐けん【水利権】

公水、ことに河川の水を、灌漑かんがい・発電・水道などの目的のために継続的、独占的に使用できる権利。用水権。

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世界大百科事典 第2版「水利権」の解説

すいりけん【水利権】

社会実態的には,河川,溜池,クリーク,渓流等の公共の用に供されている流水を継続的・排他的に使用する権利を指すが,河川法規定では,同法23条により許可された流水占有の権利(許可水利権)のことをいう。河川法上の水利権としては,許可水利権のほかに慣行水利権がある。慣行水利権は,江戸時代に成立した水利慣行に根拠を置いている。日本の水田農業の水利慣行の多くは,江戸時代に入って大河川下流部の平野に大規模な灌漑施設が造成されていく過程で,限られた水資源を同一水系内で利用する方法(水利秩序)として,まずつくられた。

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世界大百科事典内の水利権の言及

【河川法】より

…河川の流水の利用に対する行政的関与の一形式として,流水の占用の許可がある。これは,水利権を設定するという点で,講学上は〈特許〉と理解されている。この水利権の設定の申請があった場合に,河川管理者は関係河川使用者への通知等の河川法に定める水利調整を行わなければならない。…

※「水利権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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