気-液平衡(読み)キエキヘイコウ

化学辞典 第2版 「気-液平衡」の解説

気-液平衡
キエキヘイコウ
vapor-liquid equilibrium

気相と液相とが熱力学的平衡にある状態をいう.液相が互いに溶けあわない相に分かれることもあるので,相の数は2とは限らない.一成分系,すなわち,純粋物質の場合には,気-液平衡にある系の温度圧力はそのいずれか一つを定めればほかが決まってしまう.その間の関係([別用語参照]クラペイロン-クラウジウスの式)は,多数の物質に対して実証されていて,種々の温度に対する蒸気圧,または種々の圧力に対する沸点として表になっている.成分が二つ以上の場合は,温度または圧力のほかに組成の変化が加わる.二成分系を例にとると,圧力を与えて液組成を変化させると,それに伴って平衡温度,すなわち沸点と,気相の平衡組成が変化する.特別の場合(共沸混合物)を除いては,互いに平衡にある気相と液相の組成は異なり,蒸留吸収などはこの性質を利用している.しかし,液が2液相を形成するような場合には,相律によって自由度

(成分の数)-(相の数)+2
であるから

2 - 3 + 2 = 1
となって,圧力を与えると,平衡状態における2液相のそれぞれの組成も気相の組成も沸点もすべて決まることになる.二成分系の気-液平衡の表示法は,圧力または温度を一定として,低沸点成分の液組成(一般にはモル分率)をx,気相の組成(一般にはモル分率)をyとし,これらの間の関係を図示したx-y曲線(図(a)),圧力を一定として平衡での液組成と平衡温度の関係(沸点曲線)と,気相の組成と平衡温度の関係(露点曲線)を示した沸点-組成曲線(図(b)),温度を一定として,液組成と平衡圧との関係(全圧曲線)と,液組成と気相の分圧との関係(分圧曲線)を示した圧-液組成曲線(図(c))などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報