気球観測(読み)キキュウカンソク

デジタル大辞泉 「気球観測」の意味・読み・例文・類語

ききゅう‐かんそく〔キキウクワンソク〕【気球観測】

気球に観測器を装着して高層気象観測すること。

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精選版 日本国語大辞典 「気球観測」の意味・読み・例文・類語

ききゅう‐かんそく キキウクヮンソク【気球観測】

〘名〙 観測器などを装備した気球をあげて、大気上層の気象を観測すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「気球観測」の意味・わかりやすい解説

気球観測 (ききゅうかんそく)

気球を使用した観測をいう。最も広く行われるのは上層風の観測など,気象観測の分野である。この気球はパイボール(pilot balloonの略)あるいは測風気球と呼ばれる。観測にあたっては,通常,小型の気球(たとえば60g)に水素を充てんし,所定の上昇速度が得られるように浮力を与える。気球の上昇速度vと浮力Lの関係は近似的に次式で表される。

ただし,Wは気球の重さ,kは気球の形と大きさで決まる定数と考えられ実験で求められる。さて,そのあと気球を飛揚させ,速度vで上昇する気球を測風経緯儀で追跡し,定められた時間間隔で仰角方位角を読み取る。これらのデータから気球の流跡線が求められ,各高度における風向風速が計算される。この場合,高度を求めるのに気球の上昇速度vは一定と仮定する。しかし,この仮定は必ずしも正しいとはいえないので,測風精度はそれほど高くはない。それを解決するためには,適当に距離をとった2点における仰角と方位角から気球の位置を求めればよい。なお,夜間の観測には,気球の下に小型のランプをつるして行う。また,この気球観測は手軽にできる利点はあるが,雲の中にはいってしまうと観測が不可能となる。通常,地上ほぼ1kmまでの上層風の観測に用いられている。

 上述のような制約なく上層風を観測するためには,気圧計と発信器をつけた気球(レーウィンという)を電波的に追跡する方法をとる。なお,ある高度の空気の動き(正確には定圧面の流跡線)を知るために,定高度気球(ノンリフトバルーン)が用いられる。この気球はほぼ所定の高さを維持しながら浮遊するように,浮力が調整されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「気球観測」の意味・わかりやすい解説

気球観測
ききゅうかんそく

気球を利用して上空の風を観測すること。ゴム製で高所に達すると膨張する気球と、マイラーなど膨張しない材質の定容積気球(定高度気球・定圧気球とも)があり、ヘリウムまたは水素を詰める。気球内のガス圧力は外気圧とつり合い、気球容積に比例した浮力が得られる。気球と吊下(つりさ)げ物の合計重量が浮力より小ならば、気球は風に流されつつ上昇する。日本でよく使われる気球は、重さ約600グラムで約700グラムのラジオゾンデを吊り下げて約25キロメートルまで上昇、地上での約100倍の容積となり破裂する。定容積気球は一定高度で浮力と重力が均衡し、その気圧レベルで浮遊する。トランソゾンデは高層気象観測用の定容積気球で、何日間も浮遊し、刻々の上層風を、またドロップゾンデの自動投下により海面までの気温を観測する。テトルーンは、比較的狭い地域での上層風観測に使われる。なお天体観測でも気球を利用する。

[篠原武次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気球観測」の意味・わかりやすい解説

気球観測
ききゅうかんそく
balloon observation

気球を用いた高層気象観測の総称。高層の気象要素のなかで風,気圧,気温,湿度の測定が主要なもの。気球の色は白でポリエチレンなどの材質からなり,中に水素を詰め,測器をつけて飛ばすと一定速度で上昇する。浮力を適当にして一定高度を保つようにした定高度気球もある。気球観測のおもなものに,レーウィンとラジオゾンデによるものがある。レーウィンとは気球につけた小型送信機からの電波を方向探知機で追跡して,気球の方向を求め高層風の観測を行なうものである。ラジオゾンデは小型送信機を気球につけて上昇させ,地上でその電波を受信し気温,気圧,湿度を観測する。このほか,測器をつるさないパイロット気球観測や係留気球,大型測器を長時間成層圏に浮遊させる大気球観測などがある。

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