気山津(読み)きやまのつ

改訂新版 世界大百科事典 「気山津」の意味・わかりやすい解説

気山津 (きやまのつ)

平安~鎌倉期に繁栄した若狭湾岸の港津。現,福井県三方(みかた)郡若狭町の旧三方町気山。1065年(治暦1)9月,越中国の調物運漕に際し,路次の国々の津泊などで〈勝載料〉を割き取ることを禁じた太政官符(写)に,近江の塩津・大浦・木津越前敦賀津とともにこの津が見え,当時北陸方面から近江を経て京都に至るための一要津であったことが知られる(壬生家文書)。この地に鎮座する式内社宇波西(うわせ)神社が,月次・新嘗奉幣にあずかる北陸道唯一の社格を有したのも,気山津の重要性によると思われる。南北朝期ごろ以後は,小浜の繁栄とともにしだいに衰微したらしい。
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百科事典マイペディア 「気山津」の意味・わかりやすい解説

気山津【きやまのつ】

平安時代から鎌倉時代にかけて繁栄した若狭湾岸の港津。現在の福井県三方(みかた)町(現・若狭町)気山は,三方五湖の中ノ海(なかのうみ)(水月湖)東岸に位置し,北は久々子(くぐし)湖に面する。1065年,越中国の調物運漕に際し,路次の国々の津泊などで〈勝載料〉を割き取ることを禁じた太政官符写に近江の塩津・大浦・木津(こうつ),越前の敦賀(つるが)津とともに気山津がみえ,当時北陸方面から近江を経て京都に至る際の要津の一つであった。小浜湊の繁栄に伴い,南北朝期ころにはしだいに衰微したとみられる。気山には式内社の宇波西(うわせ)神社が鎮座する。

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