気化(読み)きか(英語表記)vaporisation

精選版 日本国語大辞典 「気化」の意味・読み・例文・類語

き‐か ‥クヮ【気化】

〘名〙
大気変化すること。陰陽の変化すること。
集義和書(1676頃)九「春雨五月雨は気化を以てふる雨なり」 〔顔延之‐重釈何衡陽書〕
液体が熱を受けて沸騰蒸発して気体に変化すること。また、固体が気体に変化する昇華を含めていう場合もある。〔舎密開宗(1837‐47)〕
③ (比喩的に) 変化して、姿をかえること。きえてなくなってしまうこと。
近代絵画(1954‐58)〈小林秀雄ピカソ「物は一触すれば、気化して了ふのではないかといふ風なものになって来る」

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デジタル大辞泉 「気化」の意味・読み・例文・類語

き‐か〔‐クワ〕【気化】

[名](スル)液体が気体に変わる現象。蒸発と沸騰がある。固体が直接に気体に変わる昇華しょうかも含めることもある。
[類語]蒸発昇華固化液化

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改訂新版 世界大百科事典 「気化」の意味・わかりやすい解説

気化 (きか)
vaporisation

物質が液体または固体から気体に変化する現象。液体から気体になることを蒸発,固体から気体になることを昇華と呼んで区別することもある。蒸発や昇華は液体や固体の表面からの気化であるが,液体の温度が上がり,圧力で決まる一定の温度(沸点)に達すると,液体の内部からの気化が起こる。これは沸騰と呼ばれる。気化は,一次相転移の一種で,温度一定の下で物質の密度が不連続に増す。このとき物質による熱の吸収が起こるが,この熱を気化熱と呼ぶ。例えば100℃,1気圧のときの水の気化熱は1g当り約539calである。外から熱を加えなければ物質の全量が気化することなく,そのときの温度と圧力で決まる一定の比率で気体と液体(または固体)が共存する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「気化」の意味・わかりやすい解説

気化
きか
gasification

液体が気体になること(蒸発)、また固体が気体になること(昇華)を総称していう。ある温度の下で液体または固体の一部が気化して示す圧力を平衡蒸気圧という。この蒸気圧は温度が高くなるとともに大きくなる。液体の蒸気圧が1気圧になる温度を沸騰温度という。このとき1モルの液体が気体(蒸気)になるのに必要な熱量をモル蒸発熱という。

[戸田源治郎・中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気化」の意味・わかりやすい解説

気化
きか
vaporization

液体が気体に,または固体が直接に気体に変る現象。液体の表面からの気化を蒸発,内部からの気化を沸騰といって区別する。固体の表面からの気化は昇華と呼ばれる。与えられた温度において,気化は周辺の気相の蒸気圧が飽和蒸気圧または昇華圧になるまで進行して平衡に達する。気化するには熱を要し,その潜熱は気化熱と呼ばれ,温度によって異なる。気化熱は液体では蒸発熱,固体では昇華熱とも呼ばれる。微視的には,気化は凝集状態 (液体と固体) にあって熱運動している多数の粒子 (分子や原子) のなかで統計的ゆらぎによって大きい運動エネルギーを得た少数個の粒子が,周囲の粒子からの凝集力にうちかち,表面から飛出して気体となる現象である。その凝集力の強さを表わす気化熱は温度が高くなるほど小さくなる。

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百科事典マイペディア 「気化」の意味・わかりやすい解説

気化【きか】

液体および固体が気体に変化すること。普通は液体から気体への変化をさし,蒸発沸騰の両者をいう。固体から気体への変化は昇華という。→気化熱

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岩石学辞典 「気化」の解説

気化

気化は物質が液相または固相から気相に転移する現象.蒸発(または昇華)と沸騰の場合がある.蒸発は液体または固体の表面だけで起こる気化の現象をいい,液体では沸点以下の温度で起こり,沸点で沸騰する.固体の場合は昇華と呼ばれる[長倉ほか : 1998].

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普及版 字通 「気化」の読み・字形・画数・意味

【気化】きか

気の変化。

字通「気」の項目を見る

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栄養・生化学辞典 「気化」の解説

気化

 ある物質が液体から気体へと変化すること.

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世界大百科事典(旧版)内の気化の言及

【蒸発】より

…液体,または固体の表面から気化が起こる現象。ただし固体の場合は昇華と呼んで区別するのがふつうである。液体からの蒸発は,沸点以下の温度で起こり,気相の圧力(蒸気圧)が一定の値(飽和蒸気圧)になるまで続き,そこで気相‐液相平衡に達する。温度が沸点に達すると,液体内部からも気化が起こるが,これは沸騰と呼ばれる。昇華の場合,飽和蒸気圧に当たるものは昇華圧と呼ばれる。固体の場合は沸騰に対応する現象はほとんど見られない。…

※「気化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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