気候帯(読み)きこうたい

精選版 日本国語大辞典 「気候帯」の意味・読み・例文・類語

きこう‐たい【気候帯】

〘名〙 地球上の気候を同じか、または似た状態を示す気候ごとに、緯度平行な数個の帯域区分したもの。寒帯亜寒帯、温帯、亜熱帯熱帯など。

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デジタル大辞泉 「気候帯」の意味・読み・例文・類語

きこう‐たい【気候帯】

地球上の気候分布を、緯度にほぼ平行な帯状地域に大まかに区分したもの。熱帯温帯寒帯などに分ける。
[類語]熱帯亜熱帯暖帯温帯寒帯亜寒帯冷帯

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「気候帯」の意味・わかりやすい解説

気候帯
きこうたい

地球上を緯度とほぼ並行して取り巻く類似した気候の地帯。地球上に海陸あるいは山岳がなければ、地表面に到達する太陽エネルギーは緯度によって決まる。このため、気候は緯度によって異なるはずである。この立場から、もっとも単純な気候帯の区分を数理気候帯とよび、南北回帰線の内側を熱帯、回帰線と極圏の間を温帯、極圏より高緯度側を寒帯とする。実際の気候はさらに複雑になるので、ズーパンは1879年に各地の年平均気温から、20℃以上を熱帯、10~20℃を温帯、10℃未満を寒帯とした。またケッペンは1923年に、気候を視覚的に把握できる植生の差に一致するように、温度条件を考慮して区分を行った。このように気候帯の区分は基準の取り方により多様な方法が可能である。気候を成因から考えていく近代気候学の立場からは、ソ連のアリソフB. P. Alisov(1891―1972)が1950年に前線帯季節変動との関係から、赤道気団地帯、赤道季節風地帯、熱帯気団地帯、亜熱帯地帯、中緯度気団地帯、亜極地帯、極気団地帯に区分した。またドイツのフローンHermann Flohn(1912―1997)は1950年に、降水特性と風系帯から7気候帯に、ドイツのヘイヤーErnst Heyer(1912―1987)は1963年に、大気大循環の季節変動から同様に7気候帯に区分している。

 このようにして設定された一つの気候帯のなかでも、たとえば海岸と内陸、高山など、あるいは年間を通じて多雨、夏に多雨、冬に多雨と降水の年間配分に注目するなど、同一気候帯内での気候の差が明らかになるように細分化されたものが気候区である。

[吉村 稔]

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改訂新版 世界大百科事典 「気候帯」の意味・わかりやすい解説

気候帯 (きこうたい)
climatic zone

地球上の気候分布はマクロスケールで見ると,太陽放射量の分布に大きく左右されて,緯度にほぼ平行な帯状の地域に区分できる。このような気候区分地域を気候帯という。古代ギリシアの学者たちによってクリマータklimataと呼ばれたのがはじまりで,数理気候的には両回帰線によって挟まれた熱帯,回帰線と極圏との間の温帯,極圏内の寒帯に分けられる。また,物理気候的な立場から気温を用いて気候帯を決めたものを温度帯という。しかし,実際の気候は緯度以外の水陸分布や地形などの因子によって著しく影響されるので,境界線は必ずしも緯度に平行にはならない。そこでズーパンA.Supanは年平均気温20℃,10℃をそれぞれ熱帯,温帯,寒帯の境界線とした。また,W.P.ケッペンは樹木の生育限界に着目し,月平均気温がある一定の温度を越える月の数を使って気候帯を設定した。近代気候学の観点からは,フローンH.Flohnが降水の特性と気圧および風系帯を組み合わせて,熱帯,熱帯外帯,亜熱帯乾燥帯,亜熱帯冬雨帯,湿潤温帯,冷帯,亜寒帯,寒帯の八つに分けている。アリソフB.P.Alisovは気団や前線帯の位置から,赤道気団地帯,赤道季節風地帯,熱帯気団地帯,亜熱帯地帯,中緯度気団地帯,亜北極地帯,北極地帯,南極地帯に分けた。気候帯は地球を取り巻く帯域をつくるとは限らず,さらに細分されると気候区となる。
気候区分
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気候帯」の意味・わかりやすい解説

気候帯
きこうたい
climatic zone

地球を大きく気候の共通性によって区分したもの。地球上の気候は,太陽放射量の分布に大きく左右されるため,古代では緯度に平行して熱帯温帯寒帯に分けられた。しかし,実際には水陸の分布,地形などにより区分は複雑になってくる。アレグザンダー・ズーパンは年平均気温が 10℃以下の地帯を寒帯,10~20℃を温帯,20℃以上を熱帯の三つの気候帯に分けた。またウラジーミル・P.ケッペンは,植生の差異を気温と降水量の相違に置き換え,熱帯気候乾燥気候温帯気候冷帯気候寒帯気候の 5気候帯に分類した。風系,気団,前線など近代気候学の立場から分類するものもある。

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百科事典マイペディア 「気候帯」の意味・わかりやすい解説

気候帯【きこうたい】

気候がよく似た特徴を示すほぼ同一緯度圏に沿ういくつかの地帯。最も単純な気候帯は熱帯,温帯,寒帯の三帯。さらに細分するときは気候区と呼ぶ。気候分類学では多くの学者によって各種の基準のもとにいろいろな気候帯,気候区が設定されている。

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