気体温度計(読み)きたいおんどけい(英語表記)gas thermometer

精選版 日本国語大辞典 「気体温度計」の意味・読み・例文・類語

きたい‐おんどけい ‥ヲンドケイ【気体温度計】

〘名〙 一定圧力気体体積、または一定容積の気体の圧力が、温度によって変化するのを利用した温度計総称前者定圧気体温度計後者定容気体温度計といい、精度が高く、また測定温度の範囲が広いので精密測定に用いられる。気体寒暖計。

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デジタル大辞泉 「気体温度計」の意味・読み・例文・類語

きたい‐おんどけい〔‐ヲンドケイ〕【気体温度計】

気体が温度によって体積あるいは圧力を変化させる現象を利用した温度計。補正を加えて精密な温度測定ができ、高温には窒素、低温にはヘリウムなどを使用

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改訂新版 世界大百科事典 「気体温度計」の意味・わかりやすい解説

気体温度計 (きたいおんどけい)
gas thermometer

気体の状態法則を利用する温度計。圧力式温度計のうちの気体充満式のもののように簡便な構造の製品もあるが,一般には,実験室用の計器であって熱力学温度の直接測定などに使われる。一定量の理想気体の圧力,体積,熱力学温度の3量の間の関係に着目すれば,気体温度計の原理をいく通りか考えることができるが,実際には定積気体温度計,すなわち内容積一定の容器内に密閉された気体の圧力,またはその基準値との比を実測することによって,それに比例する性質をもつ熱力学温度,またはその基準値との比を求める形式のものが多く用いられる。気体としてはヘリウムが広く使われ,それと理想気体との性質の差に関する補正を他の実験で求めて適用する。気体の純度(容器壁に吸着されていた気体の放出がないことなど),容器の内容積の一定性,正しい圧力(比)測定など,細心の注意が必要とされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「気体温度計」の意味・わかりやすい解説

気体温度計
きたいおんどけい

気体の体積、温度、圧力の間に一定の関係式(状態方程式)が成り立つことを利用して、温度を測定する温度計。ボイル‐シャルルの法則に厳密に従う理想気体を作業体とすれば、理想的な温度計ができるが、実際の気体温度計ではもちろん実在気体を使用する。したがって、これによって得られる温度測定値に適当な補正を行って絶対温度目盛りでの温度測定値が得られる。気体温度計は定圧気体温度計と定積気体温度計とに分けられる。前者は圧力を一定に保つときの体積の変化から温度を決め、後者は体積を一定に保つときの圧力の変化から温度を決める。気体温度計は、原理は簡単であるが、実際の操作はめんどうであり、実験室、工場などにおける現実の温度測定に使われることはほとんどなく、もっぱら温度の絶対測定の基準とされている。

[沢田正三]

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化学辞典 第2版 「気体温度計」の解説

気体温度計
キタイオンドケイ
gas thermometer

一定量の気体は温度がかわると圧力および体積がかわるので,体積を一定に保って圧力を測るか,圧力を一定に保って体積を測る,あるいは二つの容器の温度を一定に保っておき,ある圧力で片方の容器だけに入れておいた気体を他方の容器にまで流し入れたのちの圧力を測ることをすれば温度(気体温度)を知ることができる.それらは定容気体温度計定圧気体温度計,定温度容器気体温度計といわれる.わずかな補正を加えることによって気体温度は熱力学的温度に変換できるので,気体温度計は温度の定点の熱力学的温度値を決めるのにもっぱら用いられてきた.気体にはヘリウム,ネオン,アルゴン,水素,窒素などが用いられ,低温用容器には銅,高温用容器には石英ガラスがもっぱら用いられている.圧力計には水銀U字管を用いたものが一番精度が高い.

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百科事典マイペディア 「気体温度計」の意味・わかりやすい解説

気体温度計【きたいおんどけい】

気体の体積または圧力が温度によって変化するのを利用した温度計。圧力を一定にして体積の変化を利用する定圧気体温度計と,体積を一定にして圧力の変化を利用する定積気体温度計がある。理論的に補正すれば絶対温度が得られるので精密測定に適する。使用気体は空気,水素,窒素,アルゴン,ヘリウム,ネオンなど,特に高温で窒素,低温でヘリウム。
→関連項目温度計

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気体温度計」の意味・わかりやすい解説

気体温度計
きたいおんどけい
gas thermometer

気体の圧力または体積の温度変化を利用した温度計。きわめて精密な測定と補正が可能であるので,定義定点の温度の精密測定,他の温度計の校正などの基準温度計に用いられる。定圧型と定積型とがある。理想気体に近い気体 (高温では窒素やアルゴン,低温ではヘリウム) を用いた気体温度計の示す温度は熱力学的温度に一致する。

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世界大百科事典(旧版)内の気体温度計の言及

【温度計】より


[歴史]
 熱膨張を利用した古代の魔術まがいのしかけを別とすれば,温度の変化を示す装置を最初に考案したのはG.ガリレイといわれる。彼は,今日いう気体温度計に近いものを17世紀初期に作ったが,大気圧の変動の影響を受けるものであったから,真の温度計とはみなされず,サーモスコープthermoscope(温度見の意)と呼ばれた。ガラス管の中に液体を封入した構造の温度計は,17世紀半ばにイタリアなどで実用化され,ヨーロッパ各地に普及した。…

※「気体温度計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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