毛抜・鑷(読み)けぬき

精選版 日本国語大辞典 「毛抜・鑷」の意味・読み・例文・類語

け‐ぬき【毛抜・鑷】

[1] 〘名〙
ひげ眉毛毛髪などをはさんで抜き取る金属製の道具。はさみのような形をして、頭がくい合うようにつくってある。けぬきかたな。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※枕(10C終)七五「また、姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くるしろがねのけぬき」
② 取引相場で、二度続けて値段が上がったり下がったりすること。その表が上向きまたは下向きの毛抜きのような形をしているところからいう。〔取引所用語字彙(1917)〕
[2] (毛抜) 歌舞伎十八番の一つ。時代物。一幕。寛保二年(一七四二)大坂大西の芝居初演。「雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)」の一節で、文屋豊秀の家臣粂寺弾正が、毛抜が立つのを見て、豊秀の許嫁錦の前の頭髪が逆立つ奇病根源磁石と察し、お家騒動を納める筋。現行脚本は、明治四二年(一九〇九)岡鬼太郎の脚色で二世市川左団次が復活上演したもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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