毛孔性紅色粃糠疹(読み)もうこうせいこうしょくひこうしん(英語表記)Pityriasis RBra pilaris

六訂版 家庭医学大全科 「毛孔性紅色粃糠疹」の解説

毛孔性紅色粃糠疹
もうこうせいこうしょくひこうしん
Pityriasis RBra pilaris
(皮膚の病気)

どんな病気か

 毛穴に一致して白っぽい(あか)を伴う赤い発疹が現れ、長期になると発疹がくっついて乾癬様(かんせんよう)になる病気です。若年型と成人型があります。

原因は何か

 原因はいまだはっきりとしていません。若年型は遺伝傾向があり、常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)が考えられています。

症状の現れ方

 手指背、膝、肘、腹部などに、一つ一つ粟粒(ぞくりゅう)ほどの大きさで毛穴に一致した赤く硬い小隆起が現れます。白っぽい垢を伴い、一部はくっついて乾癬様になります(図31)。手のひら、足の裏が赤く、がさがさし、垢の層が厚ぼったくなります。

 重症になるとすべての発疹がつながり、全身真っ赤になる紅皮症(こうひしょう)といわれる状態になり、発熱や関節痛も起こるようになります。

検査と診断

 乾癬などと同じように、診断は特徴的な発疹とその分布、経過から判断します。乾癬と区別するため確定診断には、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行います。

治療の方法

 外用薬には、ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、活性型ビタミンD3外用薬も使用され、一定の効果が得られています。がさがさがひどい時は、角質溶解薬(尿素(にょうそ)軟膏)なども併せて使用します。

 重症の場合は、ビタミンA類似物質の内服薬であるレチノイド(チガソン)を用います。ビタミンAの多量の内服が効くこともあります。治りにくい場合は光線療法(PUVA療法)も行われています。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科専門医のいる医療機関を受診し、診断と治療を受けたほうがよいでしょう。重症の場合には入院治療を行うこともあります。

関連項目

 炎症性の角化症の全項目

金子 栄


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「毛孔性紅色粃糠疹」の解説

もうこうせいこうしょくひこうしん【毛孔性紅色粃糠疹 Pityriasis Rubra Pilaris】

[どんな病気か]
 まれな皮膚疾患です。乳幼児に現われるタイプと、成人になって現われるタイプがあります。どちらも、指、肘(ひじ)、膝(ひざ)に白い細かいふけのような鱗屑りんせつ)がついた、ざらざらして赤い色の皮膚変化が現われるのが特徴です。手のひら、足の裏も赤く硬くなります。
 診断と治療は、皮膚科医でも、ときに困難です。毛孔性紅色粃糠疹が疑われたときは、かかりつけの皮膚科医に専門医の紹介を依頼しましょう。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の毛孔性紅色粃糠疹の言及

【角化症】より

…(3)扁平紅色苔癬 表面光沢のある扁平な紫紅色丘疹が特徴。(4)毛孔性紅色粃糠疹 頭部,手,指背,肘頭,膝蓋等に,粃糠様鱗屑をもつ毛囊一致性角化性丘疹が多発融合し,ときに紅皮症化する。優性遺伝型で,暗順応障害のあるものがある。…

※「毛孔性紅色粃糠疹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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