毛を吹いて疵を求む(読み)けをふいてきずをもとむ

精選版 日本国語大辞典 「毛を吹いて疵を求む」の意味・読み・例文・類語

け【毛】 を 吹(ふ)いて疵(きず)を求(もと)

(毛を吹きわけて、傷を探し出す意) 好んで人の欠点を指摘する。また、わざと他人弱点をあばいて、かえって、自分の欠点をさらけ出す。毛を吹いて過怠の疵を求む
霊異記(810‐824)下「灼然(いちしろ)く過無きを慇(ねもころ)に探(あなく)り、吹毛不(けをふきてキスヲハもとむべからず)〈真福寺本訓釈 疵 キスヲハ〉」 〔漢書‐景十三王伝〕

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デジタル大辞泉 「毛を吹いて疵を求む」の意味・読み・例文・類語

を吹いてきずを求む

《「韓非子」大体から》
人の欠点を強いて暴こうとする。
人の弱点を指摘しようとして、かえって自分の弱点をさらけ出す。

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ことわざを知る辞典 「毛を吹いて疵を求む」の解説

毛を吹いて疵を求む

毛皮の毛を吹きわけて傷を探すように、ことさらに人の欠点を暴く。また、そうしたよけいなことをすることによって、かえって災いがわが身にふりかかることのたとえ。

[使用例] こうした現代人の多くが、他人の行動には毛を吹いて傷口を求めるがごとしといおうか[原口統三*二十歳のエチュード|1948]

[解説] 「韓非子―大体」に「毛を吹きてしょうを求めず、垢を洗いて知り難きを察せず」と見えます。「大体」は政治要領のことで、これを十分にわきまえた君主はことさらに欠点のあらさがしなどはしないの意です。逆に、そのような行為をする者は、政治の要領をわきまえていないことを自ら示すことにもなります。

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故事成語を知る辞典 「毛を吹いて疵を求む」の解説

毛を吹いて疵を求む

ことさらに人の欠点を暴くことのたとえ。また、その結果、かえって禍が自分の身に降りかかることのたとえ。

[使用例] こうした現代人の多くが、他人の行動には毛を吹いて傷口を求めるが如しといおうか[原口統三*二十歳のエチュード|1948]

[由来] 「韓非子―大体」に見えることばから。昔、政治の要領を心得ていた人は、「毛を吹いてしょうを求めず(毛皮の毛を吹き分けて傷を探すようなことはしなかった)」と述べ、法律をシンプルに守って自然に政治を行うことの大切さを説いています。

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