比色計(読み)ひしょくけい(英語表記)colorimeter
chromometer

精選版 日本国語大辞典 「比色計」の意味・読み・例文・類語

ひしょく‐けい【比色計】

〘名〙 比色分析に用いられる装置。比色しようとする試料溶液の容器は主としてガラスでできており、通過する可視光線吸収現象を分析に利用するもの。

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デジタル大辞泉 「比色計」の意味・読み・例文・類語

ひしょく‐けい【比色計】

比色分析に用いられる器具。

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改訂新版 世界大百科事典 「比色計」の意味・わかりやすい解説

比色計 (ひしょくけい)
colorimeter
chromometer

物質による光の吸収を利用して,溶液中に溶解している物質の定量分析を行う装置。溶液に入射する光が単色の平行光で,液中での光の散乱がなく(吸収はあるが透明である),また溶液の濃度が変化しても吸収物質の解離や会合の平衡の移動がないときは,次のランバート=ベールの法則が成り立つ。

 ln(I0/I)=αlc

すなわち,溶液の層に入射する光の強度I0と,透過後の光の強度Iとの比(透過率逆数)の対数は,液層の厚さl,溶液の濃度c吸収係数αの積に等しい。そこで試料溶液と同一溶質で,濃度および厚さが既知の標準液について透過率を測定して吸収係数を求めておき,試料溶液について厚さと透過率を測定すればその濃度が得られる。光電的測定方法が発達していなかった時代には,目視によって標準液と試料液の吸収を比較した。すなわち光源からの光を二つに分け一方は標準液槽の内部に,他方は試料液槽の内部にそれぞれ上方から入射させ,液槽を別々に上下に動かして光が透過する液層の厚さを変え,両液槽を通った後の光による視野の明るさが両者互いに等しくなるよう目視で調節し,そのときの両液層の厚さの比を求めた(デュボスクF.Duboscqの比色計)。しかし各種の光電検出器が発達した現在では,光源の光をモノクロメーター単色光にした後,二つに分けて標準液槽と試料液槽とを通し,それぞれ透過後の強度を光電的に測定する分光光度計が広く普及しており,これが光電比色計として使用されている。一方これとは別に,皮膚の色などを定量的に表すのに用いる色票集も比色計と呼ばれることがある。これは記号や数値を用いて色を表す表色系の規約に基づいて作った多くの色票を系統的に配列したもので,目視によって試料色にもっとも近似した色票を選び出せるようになっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「比色計」の意味・わかりやすい解説

比色計
ひしょくけい
colorimeter

溶液の色の濃さによって物質を定量する分析方法を比色分析といい、このために用いる光電光度計を比色計または光電比色計とよぶ。フィルターやモノクロメーターと組み合わせて特定の波長における吸光度を測定するもので、対象物質による試料の着色または試料に試薬を加えたときの着色など、一般に呈色反応を利用した溶液の分析に用いられる。目盛り校正には、規格などに規定された標準溶液または標準光学フィルターが用いられる。

[三井清人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「比色計」の意味・わかりやすい解説

比色計
ひしょくけい
colorimeter

ある色調または波長の吸収の強さを調べる装置。光学器械の発達する以前には,視覚により吸収の強さの大小を決定する視覚法が用いられていたが,現在ではその強さを光電池光電管光電子増倍管などを用いて電気的に計測し,記録する。この光電的な分光分析装置は,光源部,波長選択部,試料室,測定部から成り,このうち波長選択部にフィルタを用いるものを光電比色計,プリズム回折格子を用いるものを光電分光光度計という。

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百科事典マイペディア 「比色計」の意味・わかりやすい解説

比色計【ひしょくけい】

比色分析に用いる装置で,液層の厚さを加減して透過光による色の濃さを比較するために用いる。単色光として比色するためプリズムとフィルターを組み合わせたもの,さらに光電管などを用いて測光する光電比色計もある。

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化学辞典 第2版 「比色計」の解説

比色計
ヒショクケイ
colorimeter

眼で見て溶液の色の濃淡を判別するための比較的簡単な器具,装置に対する総称.デュボスク型比色計,プルフリヒ型比色計などが有名である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「比色計」の解説

比色計

 溶液の色の濃さを測定する機器.

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