比丘尼御所(読み)びくにごしょ

精選版 日本国語大辞典 「比丘尼御所」の意味・読み・例文・類語

びくに‐ごしょ【比丘尼御所】

〘名〙
皇女王女、または公卿貴紳息女などが、出家して住職となった寺。皇女・王女の住職となる寺を宮室といい、公卿・貴紳の息女等の住職となる寺を御禅室という。尼御所
※年中定例記(1525頃)「今日比丘尼御所御参
② (「御所」は貴人敬称) 皇族または公卿出身の尼。
咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「ある比丘尼御所(ビクニごショ)知行所へ御遊山に御こしなさるる」

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デジタル大辞泉 「比丘尼御所」の意味・読み・例文・類語

びくに‐ごしょ【丘尼御所】

江戸時代、皇女・王女または公卿の娘などで出家した人が住職となった尼寺中宮寺法華寺など。尼御所。

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改訂新版 世界大百科事典 「比丘尼御所」の意味・わかりやすい解説

比丘尼御所 (びくにごしょ)

皇室や摂家から入寺した尼僧が代々住持となる尼寺。江戸時代には一種の寺格となった。寺名のほか御所名があり,宗派は諸宗にわたる。御宮室と御禅室の区別があり,前者は皇女や王女が天皇の猶子となって入寺する尼寺で,大聖寺(御寺(おてら)御所),宝鏡寺(百々(どど)御所),曇華(どんげ)院(竹御所),光照院常盤ときわ)御所),霊鑑寺(谷(たに)御所),円照寺(山村御所),林丘(りんきゆう)寺(音羽御所),中宮寺(斑鳩(いかるが)御所)がある。御禅室は公家出身の尼僧が入寺し,慈受院(烏丸(からすま)御所),三時知恩寺(入江御所),法華寺(氷室(ひむろ)御所),瑞竜寺(村雲御所)などが著名。明治以後,皇女・王女の入寺はやみ,華族の子女などが代わり,比丘尼御所の寺格も廃止された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「比丘尼御所」の意味・わかりやすい解説

比丘尼御所
びくにごしょ

江戸時代において皇室の内親王や公卿の息女が出家して,住職となった寺院の称。明治以後にこの称は廃され,御由緒寺院と称した。

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世界大百科事典(旧版)内の比丘尼御所の言及

【尼寺】より

…鎌倉においても太平,東慶,国思,護宝(法),禅明の5寺が五山といわれた。なお,皇族などの息女が住持,相承する寺を比丘尼御所または尼門跡とよぶ。【堀池 春峰】。…

※「比丘尼御所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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