毒キノコ(読み)どくキノコ

百科事典マイペディア 「毒キノコ」の意味・わかりやすい解説

毒キノコ【どくキノコ】

毒菌とも。普通食べると中毒を起こすキノコをいう。その毒成分はコリンムスカリンなどが代表的で,神経系を冒したり,消化器血液などに影響を与えるなどの作用がある。毒性の強さは,致死的なもの,致死的ではないが苦痛を伴うものなど種によって異なる。日本では毒キノコは比較的少なく,ドクツルタケコレラタケニセクロハツドクササコテングタケワライタケツキヨタケアセタケなど。毒キノコと食用キノコの一般的な見分け方はないので注意。中毒患者数は報告されたものだけで年間平均500人近い。
→関連項目食中毒

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毒キノコ」の意味・わかりやすい解説

毒キノコ
どくきのこ

毒性をもつキノコをいい、日本に分布する毒キノコの数は数十種を超えるが、実際の中毒は10種前後のキノコによる。そのうち、致命的なのはドクツルタケやタマゴテングタケの仲間の数種と、コレラタケ、ニセクロハツなどである。致命的ではないが、激しい苦痛をおこすものとしてドクササコやニガクリタケがある。症状の多くは下痢嘔吐(おうと)性であるが、キノコ中毒のうち約3分の2はツキヨタケ、イッポンシメジ近縁種としてクサウラベニタケ)、マツシメジカキシメジ)などであるため、キノコ狩りをする人は、これらの毒キノコの形態などを、あらかじめ知っておく必要がある。

 民間に伝わる毒キノコの鑑別法(たとえば茎が縦に裂けるキノコは食べられるなど)には誤りが多いうえ、毒キノコには種類が多く、形状もさまざまなので、安直な見分け方はないことを留意しておきたい。

[今関六也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「毒キノコ」の意味・わかりやすい解説

毒キノコ
どくキノコ
poisonous mushroom

担子菌類中の子実体の大きなものをキノコといい,そのうち毒をもつものの総称。有毒成分はキノコの種類によって異なり,鑑定はむずかしい。そのため毒キノコによる中毒事件はあとを絶たない。古来特に有毒とされているキノコにはおよそ次のものがある。致命的な毒性をもつものに,テングタケ,ベニテングタケ,タマゴテングタケ,シロタマゴテングタケ,ニセクロハツ,コレラタケ,ニガクリタケ,ドクツルタケ。猛毒ではないが誤食される頻度の高いものに,イッポンシメジ,ツキヨタケ,カキシメジ,ドクササコなど。オオクライタケ,シビレタケ,ワライタケの3種は猛毒といわれるが,致命的ではない。

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世界大百科事典(旧版)内の毒キノコの言及

【キノコ(菌∥蕈∥茸)】より

…キノコは英語ではマッシュルームmushroom,フランス語ではシャンピニョンchampignon,ドイツ語ではピルツPilzという。
[食用キノコと毒キノコ]
 人類とキノコとのつながりは,食用から始まったといえよう。森林を背にし海辺に住んだわれわれの先祖は,海の幸と山の幸に恵まれた。…

※「毒キノコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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