毒(漢字)

普及版 字通 「毒(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ドク・トク
[字訓] てあつい・そこなう・うらむ

[説文解字]

[字形] 象形
婦人祭事に奉仕するとき、盛装した姿。結髪して威儀を整えた婦人の姿は妻。髪に飾りをつける。その側身形は(しよう)、その髪に手をそえた形は(敏)。敏捷は婦人が祭祀にいそしむ形。その髪飾りが特に繁多であることを毒という。厚化粧し、盛装した姿は簡素に反するので、毒という。〔説文〕一下に「厚きなり。人をするの艸、にして生ず」と毒草の意とし、字を「(てつ)に從ひ、(あい)聲」とするが、形声義ともに誤る。毒草の毒はおそらく毒の重文として加えられている古文、毒をその義に用いるのは仮借義であろう。毒厚が字の初義、しかしのち毒薬の毒の義に用いる。

[訓義]
1. てあつい。篤と声義が近い。
2. どく、どくやく、毒草。
3. そこなう、いためる、ころす。
4. あらい、むごい、つよい。
5. うらむ、にくむ、いきどおる。

[古辞書の訓]
名義抄〕毒 ウレフ・ヤム・ヲサム・ニガシ・ツカフ・イタム 〔字鏡集〕毒 ツカフ・ウレフ・ヤム・ヲサム・ニガシ・イタク・ハジム・ウラム・クルシ・クシル・イタク

[語系]
毒duk、篤tukは声近く、通用することがある。毒は婦人の繁飾の象で、篤厚の意がある。篤は馬が困弊する意であるから、篤厚の意は毒がその本字。毒薬の意は、〔説文〕一下に毒の重文として録するがその本字、毒を用いるのは、同声の仮借義である。

[熟語]
毒悪・毒・毒殴毒禍・毒・毒害・毒毒気・毒・毒毒虐・毒菌・毒苦・毒毒蠱・毒口・毒公・毒恨・毒剤毒殺・毒矢・毒刺・毒蛇・毒手・毒酒毒腫毒愁・毒汁・毒獣・毒暑・毒女・毒・毒心・毒刃毒螫毒舌・毒・毒賊・毒治・毒中毒虫・毒痛・毒熱・毒罵・毒筆毒蝮毒氛・毒・毒霧・毒薬毒辣・毒・毒・毒劣
[下接語]
陰毒・炎毒・怨毒・懐毒・害毒・姦毒・含毒・毒・棄毒・虐毒・凶毒・苦毒・解毒・劇毒・蠱毒・厚毒・惨毒・酸毒・醜毒・除毒・障毒・食毒・身毒・螫毒・毒・創毒・胎毒・毒・丹毒・沈毒・毒・毒・鴆毒・毒・天毒・毒・蠹毒・梅毒・服毒猛毒・有毒・余毒・罹毒・流毒・毒・烈毒

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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