殿部(読み)とのもりべ

精選版 日本国語大辞典 「殿部」の意味・読み・例文・類語

とのもり‐べ【殿部】

〘名〙 主殿寮(とのもりりょう)に所属し、宮中食事灯火清掃などの雑役に従った伴部日置子部、車持、笠取、鴨の五氏から四〇名で編成。〔令義解(718)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の殿部の言及

【主殿寮】より

…令制の宮内省所属の官司。職員は頭(長官),助(次官),允(判官),大属・少属(主典)各1人,殿部(とのもり)(伴部)40人等。天皇の行幸の際の乗物(輿(こし))や蓋(きぬがさ)等の管理と供奉(ぐぶ),殿上の帷帳(とばり)の設営,天皇の湯殿への供奉,殿庭(内裏などの庭)の掃除,宮内の灯(油火)・燭(蠟火)・燎(庭火)の管理・設営,薪炭の調達をつかさどる。…

【日置部】より

…一方,神事や祭祀にかかわり合いながら,それらの手工業生産にも当たる性格も指摘されてきた。 もともと日置氏は宮内省主殿寮殿部(とのもり)の負名氏(なおいのうじ)の一つで,本拠は大和国葛上郡日置郷にあり,地縁的にも職掌的にも同じ負名氏の鴨氏と類縁の関係にあったと考えられている。葛城の鴨氏が阿治須岐託彦根(あじすきたかひこね)神をまつるのに対し,日置氏はこの神の妻という阿麻乃弥加都比女(あまのみかつひめ)をまつっていた(《尾張国風土記》)。…

【部民】より

…その上部に官人の統率者としての臣(おみ)・連(むらじ)・伴造(とものみやつこ)という階層,その下に実務を担当する百八十部(ももあまりやそのとも),そして各職務に応じ生産・貢納に従う品部(しなべ∥しなじなのとも)という,上下の統属関係にもとづくピラミッド型の官司制を成立させたと考えられる。 まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。…

※「殿部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android