デジタル大辞泉
「殺」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ころ・す【殺】
〘他サ五(四)〙
[一]
① 他人や動物などの
生命を絶つ。命を取る。殺害する。⇔
生かす。
※
書紀(720)崇神一〇年九月・
歌謡「大き戸より 窺ひて 許呂佐
(コロサ)むと すらくを知らに 姫遊びすも」
② (不注意で死なせた、または、手を尽くしたが死に至らせたという
気持をこめていう語) 死なせる。亡くす。失う。
※
今昔(1120頃か)三一「病の莚に沈むで、
気色不覚に見えければ、兄有て、家にては不殺
(ころさ)じと思て」
③ おさえて小さくする。勢いをおさえとどめる。
※雑俳・柳多留‐六(1771)「上ぞうりころしてあるくにくらしさ」
④ 相手を悩殺する。惚(ほ)れさせて意のままにあやつる。
※評判記・剥野老(1662)
坂田市之丞「かほうつくしし目もとにころすところあり」
※邦子(1927)〈
志賀直哉〉「
退屈が私を殺す以上に、さういふ繁忙が亦私を殺しさうな気がするので」
⑥ 碁などの
勝負事や
相撲・野球などのスポーツで、相手の攻撃力を直接的あるいは間接的に封じる。
※新式ベースボール術(1898)〈高橋雄次郎〉三「塁に居る敵が大胆に隙を窺
(ねら)って、塁を離れる、そいつを殺す為め〈略〉塁を守て居る味方の
大将に、投げる事があります」
⑦ 衣服類を質
(しち)に入れる。
うち殺す。ぶち殺す。
※
洒落本・酔姿夢中(1779)「両方では壱匁弐分くらいの
通用と悦びしが、所の案内しらざれば、ころす謀
(はかりごと)も出来ず」
⑧ 清算取引で、相場の変動のため客が取引員に追加して支払うべき証拠金を納入しなかった際、客の
建玉を任意に処分してしまう。
※洒落本・妓者呼子鳥(1777)一「『初会か』『ウウ』『どふだころしたか』」
⑩ 列車の運転をとりやめることをいう、鉄道関係者の語。
[二]
補助動詞として用いる。いやになるほどその動作をする。「問いころす」「ほめころす」など。
ころし【殺】
① 殺すこと。
多く他の語と複合して用いる。「主
(しゅう)殺し」「
親殺し」
② (もと警察で用いた語) 殺人。また、殺人事件。〔最新百科社会語辞典(1932)〕
さつ【殺】
〘名〙 ころすこと。刑に処して殺すこと。
※太平記(14C後)二〇「残に勝ち、殺(サツ)を棄てん事、何ぞ必ずしも百年を待たん」 〔論語‐子路〕
そ・す【殺】
〘他サ四〙 生命を奪う。ころす。
※白氏文集天永四年点(1113)四「もの言はず、咲はず、君を愁へ殺(ソス)(〈別訓〉ソサしむ)」
せつ【殺】
〘名〙 殺すこと。さつ。
※正法眼蔵(1231‐53)坐禅箴「殺の言、たとひ凡夫のごとくにひとしくとも、ひとへに凡夫と同ずべからず」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報