普及版 字通 「殷(漢字)」の読み・字形・画数・意味
殷
10画
[字訓] さかん・ただしい・あか
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
(いん)+殳(しゆ)。〔説文〕八上に「樂を作(な)すことのんなるを殷とふ」と、楽声の殷々たることをいうとするが、字形からいえば「朱殷(しゆあん)」のように、血の色をいうのが原義であろう。は身の反文。身は妊娠の象。これを殳で殴(う)つのは、何らかの意味をもつ呪的方法と思われる。金文にに作り、その呪儀を中で行う。孕んでいる子の、生命力を鼓舞する意の呪儀であろう。
[訓義]
1. さかん、大きい、ゆたか、多い、深い。
2. 正しい、あたる、ただす。
3. 慇に通じ、ねんごろ、うれえる。
4. 血などの赤黒の色、あか、あかい。
5. 古代の王朝の名、地の名、姓の名。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕殷 サカユ・サカリナリ・サカリニ・オホキナリ・タダシ・ミダル・アヤシ・アカクロナリ 〔字鏡集〕殷 サカリ・サカユ・オホシ・オホキナリ・ミダル・ネムコロ・フルシ・アカシ・アカイロ・モロモロ・ナホ
[声系]
殷・慇inは同声。慇は慇痛。殷はもと身(妊娠の象)を殴つ形で朱殷の意。その義を承ける。
[語系]
殷・慇・隱(隠)inは同声。隱に隠痛の意がある。
[熟語]
殷紅▶・殷殷▶・殷盈▶・殷鑒▶・殷墟▶・殷彊▶・殷勤▶・殷見▶・殷▶・殷戸▶・殷厚▶・殷懇▶・殷祭▶・殷雑▶・殷実▶・殷衆▶・殷昌▶・殷商▶・殷賑▶・殷盛▶・殷切▶・殷薦▶・殷然▶・殷湊▶・殷足▶・殷▶・殷▶・殷同▶・殷繁▶・殷富▶・殷阜▶・殷聘▶・殷憂▶・殷雷▶・殷▶・殷輅▶
[下接語]
戸殷・紅殷・朱殷・衆殷・庶殷・寧殷・豊殷・有殷・隆殷
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報