(読み)のこり

精選版 日本国語大辞典 「残」の意味・読み・例文・類語

のこり【残】

〘名〙 (動詞「のこる(残)」の連用形名詞化)
① 残ること。残ったもの。
書紀(720)神武即位前(熱田本訓)「未だ清(しつま)らず、余(ノコリ)の妖(わさわひ)尚梗(あた)れり」
源氏(1001‐14頃)絵合「『かのうらうらの巻は中宮にさふらはせ給へ』ときこえさせ給ければ、これがはじめ、のこりの巻々ゆかしがらせ給へど」
余命余生
※新古今(1205)春下・一四二「詠むべき残の春をかぞふれば花とともにも散る涙哉〈俊恵〉」

ざん【残】

〘名〙
① しいたげ、そこなうこと。残虐なこと。
太平記(14C後)二〇「残(ザン)に勝ち殺を棄てん事、何ぞ必ずしも百年を待たん」 〔論語‐子路〕
② のこり。あまり。特に、飲食物ののこりをいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・文政句帖‐五年(1822)四月部屋住やきのふの残(ざン)でとし忘」

のこし【残】

語素〙 (動詞「のこす(残)」の連用形から) 動詞の連用形に付いて複合名詞を作り、その動作を終わりまでしなかったこと、また、その結果として残ってしまったものなどを表わす。「しのこし」「食べのこし」など。

のこん【残】

〘名〙 (多く助詞「の」を伴って用いる) 「のこり(残)」の変化した語。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「残」の意味・読み・例文・類語

ざん【残】

のこり。あまり。「差し引き三万円の
そこなうこと。きずつけること。
「―に勝ち殺を棄てん事、何ぞ必ずしも百年を待たん」〈太平記・二〇〉
[類語]残存残留名残残品残務余り残り残余残部残物余剰剰余余分余計余裕端数おこぼれはした半端

ざん【残〔殘〕】[漢字項目]

[音]ザン(呉) [訓]のこる のこす
学習漢字]4年
あとにのこる。「残業残雪残存残念残余残留
そこなう。くずれる。「残害残欠衰残敗残廃残老残
むごい。「残虐残酷残忍

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android