精選版 日本国語大辞典 「残留鉱床」の意味・読み・例文・類語
ざんりゅう‐こうしょう ザンリウクヮウシャウ【残留鉱床】
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岩石や鉱床が地表で風化・浸食作用をうけ,水に溶けやすい成分や分解しやすい鉱物が運び去られることにより,溶けにくい成分や分解しにくい鉱物が濃集してつくる鉱床。水に溶けにくい成分が濃集してつくる鉱床としては,アルミニウムの資源としてもっとも重要なボーキサイト鉱床,ニッケルのケイニッケル鉱鉱床,マンガン鉱床などがある。ボーキサイトは高温多湿の熱帯地方で風化により岩石を構成する鉱物が分解し,水に溶けやすいアルカリやアルカリ土類元素などが溶出して,難溶性のAl2O3(50~60重量%),Fe2O3(1~25%),TiO2(1~15%)などが土壌に残留したもので,現在地表で生成しつつあるものから過去の地質時代のものまで知られている。日本にはボーキサイト鉱床はなく,インドネシア,オーストラリアなどから輸入している。鉱床の上部で風化により有用な金属が濃集する二次富化帯も残留鉱床の一種である。
水によって分解されにくい鉱物は風化・浸食の過程でしだいに残留,濃集する。金,スズ石,磁鉄鉱など,岩石中に少量含まれる鉱物が露頭付近で濃集してつくる鉱床がこの例で,マレーシアのスズ鉱床は有名である。このような風化に安定な鉱物が,水や風などで長い距離を運搬され,その過程で濃集したものは砂鉱床と呼ばれる。
執筆者:島崎 英彦
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