死神(落語)(読み)しにがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「死神(落語)」の意味・わかりやすい解説

死神(落語)
しにがみ

落語。明治20年代に三遊亭円朝(えんちょう)が、イタリアのオペラ『靴直しクリピスノ』から翻案したといわれるが、明治30年代に三遊亭円左が口演してからよく知られるようになった。「ステテコの円遊」はこれを改作して『誉(ほまれ)の幇間(たいこ)』と題した。借金に苦しむ男が自殺しようとしているところへ死神がきて、死神が枕元(まくらもと)にいれば病気は治らないが、足元にいると治るといって死神退散の呪文(じゅもん)を教える。男はそれを知って医者になって大もうけをするが、遊びすぎて金がなくなる。その後、金持ちの病人によばれ、枕元に死神がいるので寝床を半回転させて病人を全快させるが、だまされた死神が怒り、男は生命のろうそくの所へ連行される。いまにも消えそうなろうそくが自分の生命だといわれた男は、ふるえながらろうそくを継ぎ足そうとするが、ろうそくは継げず、「ああ消える」といってばったりと倒れる。十分にくふうを凝らした6代目三遊亭円生(えんしょう)の「しぐさ落ち」が好評であった。

[関山和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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