死体解剖(読み)したいかいぼう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「死体解剖」の意味・わかりやすい解説

死体解剖
したいかいぼう

死体の体表、諸臓器、組織などを医学的に検索して、人体の構造を究明したり、死因その他の関連事項を究明することをいう。また、死体解剖は究明事項の目的によって、系統解剖病理解剖法医解剖に分類される。しかし、医師であれば、だれでも、いつでも解剖できるというものではなく、これに関する法規(死体解剖保存法2条)に基づいて行わなければならない。死体の解剖をしようとする者は、あらかじめ、解剖をしようとする地の保健所長の許可を、そのつど受けなければならない。しかしながら、次の場合には保健所長の許可を必要としない。厚生労働大臣が適格者として認定した者、医学に関する大学の解剖学・病理学・法医学の教授・助教授監察医が行う場合、刑事訴訟法の規定に基づいて行う場合、食品衛生法・検疫法の規定によって行う場合などである。また、司法解剖と監察医が行う行政解剖では遺族承諾を要しないが、系統・病理解剖では遺族の承諾が必要である。

[船尾忠孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android