歩(漢字)

普及版 字通 「歩(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
人名用漢字 7画

[字音]
[字訓] あゆむ・あるく・ゆく

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
左足の足あと止+右足のあしあと少。左右の足あとを連ねて歩行の意とする。〔説文〕二上に「行くなり」、また行字条二下に「人の趨(ほすう)なり」と互訓するが、行は十字路の形である。〔礼記、曲礼上〕「堂上には武を接し、堂下には武を布く」の武は半歩、歩は六尺、合わせて「歩武堂々」のようにいう。足を地に接して歩くことは、その地の地霊に接する方法で、重要な儀礼に赴くときには歩するのが常法であった。〔書、召誥〕に、「王、(あした)に(宗周)よりして豐(ほう)(豊京、神都)に至る」という。地霊を鎮撫する儀礼を践土(せんど)といい、わが国の反閉(へんばい)がそれにあたる。

[訓義]
1. あゆむ、あるく、あゆます、かち。
2. ゆく、すすむ。
3. いる、おる、地位、地歩
4. おす、おしはかる。
5. 一歩、六尺。
6. みぎわ、はとば。
7. 神の名。馬の神、災いの神。

[古辞書の訓]
名義抄 アユム・オコナフ・ユク・タヅヌ・アリク・カチ

[部首]
〔説文〕に(歳)をこの部に属し、〔玉〕も同じ。卜文の字形は、戉(えつ)(鉞(まさかり))の刃部に上下に分書した形に作る。は古く祭名であるから、このも儀礼に関する意味があるのであろう。のちにはにかえて、(肉)を加える形となる。神の陟降の陟は、神梯を陟(のぼ)る形。順・の字も古くはに従っており、水の儀礼をいう字であったと考えられる。

[声系]
〔説文〕に声として、艸部など二字を収めるが、用例のない字である。(渉)・(頻)・などは会意。みな水の儀礼に関する字。

[語系]
baは浦phaと声近く、浦は〔説文〕十一上に「水(すいひん)なり」とあり、はのちの濱(浜)の字で、そこは神を迎えるところであった。bien、濱pienも声義の関係があり、水辺の祭儀をいう語である。

[熟語]
歩韻・歩運・歩雲歩檐歩簷歩騎・歩・歩・歩弓・歩虚・歩径歩景・歩月・歩行・歩歩叉歩靫・歩士歩爵歩驟・歩障・歩渉歩趨・歩石・歩戦・歩卒歩逓・歩天・歩頭・歩武歩廡・歩歩・歩輿歩揺・歩履・歩暦歩輦・歩廊
[下接語]
安歩・羽歩・禹歩・運歩・雲歩・雅歩・歩・学歩・闊歩・閑歩・間歩・緩歩・歩・却歩・牛歩・遽歩・競歩・跼歩・玉歩・窘歩・健歩・蹇歩・故歩・顧歩・行歩・高歩・国歩・散歩・疾歩・弱歩・初歩・徐歩・舒歩・進歩・推歩・趨歩・寸歩・仙歩・促歩・速歩・退歩・地歩・馳歩・天歩・徒歩・独歩・日歩・馬歩・武歩・漫歩・游歩・涼歩・連歩・蓮歩

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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