百科事典マイペディア 「武林無想庵」の意味・わかりやすい解説
武林無想庵【たけばやしむそうあん】
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小説家、翻訳家。札幌生まれ。本名盛一。4歳のとき養子となり上京。旧制一高から東京帝国大学英文科に進み、1903年(明治36)小山内薫(おさないかおる)らと『七人』を創刊、国文科に移ったが中退。大正に入ってから雑誌『モザイク』に拠(よ)る。ドーデの『サフォ』やアルツィバーシェフの『サニン』を訳了。大正期のダダイズムの思潮に応じ、辻潤(つじじゅん)と交わり、20年(大正9)から渡欧、帰国を挟み、以後しばしば渡欧、虚無と退廃に身をゆだねた。主著『性慾(せいよく)の触手』(1922)、『文明病患者』(1923)、『無想庵独語』(1948)など。翻訳にゾラの『大地』、バルビュスの『耶蘇(やそ)』がある。流転と飢渇のなかに魂の自由を追った特異な文学者である。
[助川徳是]
『『むさうあん物語』全41巻・口述(1957~67・無想庵の会)』▽『『現代日本文学大系32 武林無想庵他集』(1973・筑摩書房)』
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