武家造(読み)ぶけづくり

精選版 日本国語大辞典 「武家造」の意味・読み・例文・類語

ぶけ‐づくり【武家造】

〘名〙 鎌倉時代から室町時代武家住宅を、寝殿造りと違った後の書院造りの祖形として明治時代から昭和初期にかけて名づけたもの。その様式概念が明らかではなく、またそのようなものの実例もないので、最近では特に武家造りというものを認めていない。

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デジタル大辞泉 「武家造」の意味・読み・例文・類語

ぶけ‐づくり【武家造(り)】

武家住宅の建築様式。のちの書院造りの祖形と考えられるが実例がないので詳細は不明。

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百科事典マイペディア 「武家造」の意味・わかりやすい解説

武家造【ぶけづくり】

鎌倉末期,武家邸宅として寝殿造から変化した建築様式。表門の右に遠侍(とおざむらい)(警備武士詰所)を置き,正面に主殿を配する。主殿は田字形に間取りされ,上段の間,対面の間,納戸公卿の間などを配置。一部の畳敷のほかは板敷。のち書院造に発展した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「武家造」の解説

武家造
ぶけづくり

貴族住宅形式である寝殿造に対して,中世の武家住宅の形式を武家造とよぶことがあった。かつて近世の武家住宅の形式である書院造の成立過程を説明するにあたって,武家には寝殿造とは別の住宅形式があるに違いないという思いこみから,武家造の概念がつくられた。その後の研究によって書院造も寝殿造から発展して形成されたことが明らかになり,中世の武家住宅も寝殿造の系譜を引くものであることがはっきりしてきた。今日では武家造という住宅形式の概念は認められていない。

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旺文社日本史事典 三訂版 「武家造」の解説

武家造
ぶけづくり

中世武士の住宅建築様式の名称
書院造を寝殿造とはまったく別の系譜を引くと考え,書院造の源流として武家様式が考えられたが,書院造も寝殿造から発展して形成されたことが明らかになり,今日はこの概念は認められていない。

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