歌舞伎踊(読み)かぶきおどり

精選版 日本国語大辞典 「歌舞伎踊」の意味・読み・例文・類語

かぶき‐おどり ‥をどり【歌舞伎踊】

〘名〙 近世初期、出雲大社巫女(みこ)阿国が、男装帯刀の異様な姿で歌い、踊ったのにはじまる舞踊劇。また、阿国歌舞伎女歌舞伎若衆歌舞伎などの踊り。歌舞伎踊狂言。
慶長見聞集(1614)二「江戸吉原町にて来三月五日かつらき太夫かふきおとり有と日本橋高札を立る」

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デジタル大辞泉 「歌舞伎踊」の意味・読み・例文・類語

かぶき‐おどり〔‐をどり〕【歌舞伎踊(り)】

歌舞伎発生期の女歌舞伎若衆歌舞伎などの踊り。流行歌謡などに合わせて踊る一種レビューで、出雲阿国いずものおくにが創始したという。

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世界大百科事典(旧版)内の歌舞伎踊の言及

【出雲のお国】より

…巷説では出雲大社の巫女(みこ)とされているが,地方から京に上った歩き巫女の一人であったとする説や,洛北出雲路河原の時宗鉦打聖の娘との説もある。江戸時代を通してさまざまに伝えられてきたお国伝説の集大成ともいうべき《出雲阿国伝》によれば,お国は出雲国杵築の鍛冶職中村三右衛門の娘で,永禄(1558‐70)のころ出雲大社修覆勧進のために諸国を巡回したところ,容貌美麗で神楽舞に妙を得ていたので評判となり,京に上って歌舞伎踊を考案し,織田信長や豊臣秀吉,越前中納言秀康などに召し出されて寵愛されたということになっている。確実な資料にとにかく〈国〉の名が出るのは,1600年(慶長5)京都近衛殿において〈クニ〉と〈菊〉という2人が雲州(出雲国)のややこ踊を演じたとあるのが最初である(《時慶卿記》)。…

【お国歌舞伎】より

出雲のお国の創始した芸能。1603年(慶長8),京都において出雲のお国と称する女性芸能者が,当時横行していたかぶき者と呼ばれる意気がった若者たちの,茶屋女に通う姿に男装して扮し,流行歌や踊をまじえて演じ,歌舞伎踊として人気を博した。これが歌舞伎という芸能の始まりとなる。…

【歌舞伎】より


【歴史】

[歌舞伎の黎明]
 近世初頭,打ち続いた戦乱に非業のうちに死んだ人たちの魂をまつる御霊会(ごりようえ)にともなった風流(ふりゆう)踊が全国的に大流行した。歌舞伎踊は,この風流踊を母胎とし,中世的な舞とは違って,仮面を着けず,振りをそろえて〈踊る〉舞台芸能として成立する。その最初は,出雲大社の巫女の出身と称し,出雲のお国と名のった女性芸能者が京都にのぼり,〈ややこ踊〉と呼ぶ芸能を演じたのに起こる。…

※「歌舞伎踊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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