歌会(うたかい)(読み)うたかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌会(うたかい)」の意味・わかりやすい解説

歌会(うたかい)
うたかい

「かかい」ともいう。歌人が集まって詠んだ歌を披講(読み上げる)する会。現在は集まった歌人の作を批評する会。『万葉集』巻5の大宰府(だざいふ)の大伴旅人(おおとものたびと)邸の梅花の宴が文献のうえではもっとも古く、平安時代には、曲水宴などの年中行事、仏教行事や、観桜、観月や『日本書紀』などの講書竟宴(きょうえん)などで行われ、管絃(かんげん)、酒宴を伴う総合的遊宴儀式となっていき、宮中で行われる公的なものを公宴御会(こうえんごかい)といった。平安後期以後、遊宴儀式の性格から、より純粋な作歌の場、発表の場としての集まりが増加し、俊恵(しゅんえ)法師の歌林苑(かりんえん)の歌会のように、参加者も広く僧俗の間に広がっていく。鎌倉時代には百首歌のような定数歌や続歌(つぎうた)などの形式も盛行する。歌会の歌は、あらかじめ出題されている題によって詠む兼題が多く、当日の出題による当座もあったが、いずれにしても歌会では題詠の歌が発表された。発表は披講によった。現在、宮中で行われる歌会始(はじめ)は、その古式を伝える。なお、平安時代以来の歌合(うたあわせ)、室町時代に盛行した連歌(れんが)の会も歌会の一形式。今日では題詠による披講の歌会はまず行われない。互選や選者選による批評会、参加者の作の合評会の性格を強くしている。

武川忠一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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