款識(読み)かんし

精選版 日本国語大辞典 「款識」の意味・読み・例文・類語

かん‐し クヮン‥【款識】

〘名〙 (「款」は凹字(陰字)、「識」は凸字(陽字)のこと) 鐘、鼎(かなえ)灯籠(とうろう)などの金属製品に文字を鋳込むこと。また、その文字。また、転じて、書画などにおける作者署名押印。かんしき。
随筆蘐園雑話(1751‐72頃)「印と款識とは疑はしき由言はれたり」 〔史記‐孝武本紀〕

かん‐しき クヮン‥【款識】

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デジタル大辞泉 「款識」の意味・読み・例文・類語

かん‐し〔クワン‐〕【款識】

《「款」は陰刻の銘、「識」は陽刻の銘》
鐘やかなえなどに刻した文字。銘。銘文
書画に筆者が署名、捺印なついんすること。また、その署名、捺印落款らっかん。かんしき。

かん‐しき〔クワン‐〕【款識】

かんし(款識)2

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普及版 字通 「款識」の読み・字形・画数・意味

【款識】かん(くわん)し

鐘鼎の銘文。陰文を款、陽文を識という。〔史記、武帝紀〕汾陰の巫錦、~(と)りてるに鼎を得たり。鼎の大いさ、衆鼎に異なり。鏤(ぶんる)(文様)ありて、款無し。

字通「款」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の款識の言及

【金石文】より

…彝器とは祖先の霊をまつったり賓客を饗応するときに使用する礼楽器のことで,食器(鼎,敦(たい)など),酒器(爵,尊など),水器(盤など),楽器(鐘(しよう)など)に大別される。このうち楽器の鐘と食器の鼎で彝器を代表させて鐘鼎彝器といい,金文のことを鐘鼎文とか款識(かんし)ともいう。 殷代の金文は,氏族記号と解される図象文字や十干を付した父祖の名を記すものが多く,全体に字数は少ない。…

※「款識」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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