次(漢字)

普及版 字通 「次(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)
6画

[字音]
[字訓] なげく・つぐ・つぎ・やどる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
人が咨嗟(しさ)してなげく形。口気のもれている姿である。〔説文〕八下に「(すす)まず。(くは)しからざるなり」とし、二(に)声とするが、二に従う字ではなく、〔説文〕の訓義の意も知られない。は咨(なげ)き訴えるその口気を示す形。咨は祈るとき、その口気を祝詞(さい)に加える形。神に憂え咨(なげ)いて訴え、神意に諮(はか)ることをいい、咨は(諮)の初文。そのたち嘆くさまを(姿)という。第二・次第の意は、おそらくくりかえすことから、また「次(やど)る」は軍行のときに用いるもので、古くは(し)の字義にあたり、音を以て通用するものであろう。古文字形は、他に徴すべきものがなく、中島竦の〔書契淵源〕に、婦人の首飾りを〔儀礼、士冠礼〕に次と称しており、その象形の字であろうという。〔説文〕の解は、〔易、夬、九四〕「其の行、且(じしょ)」の語によって解したものであろうが、次且は二字連語、そこから次の字義を導くことはできない。

[訓義]
1. なげく、たちなげく。
2. なげきうったえる、なげきはかる。のち咨・諮を用いる。
3. かさねつづける、つぐ、つぎ、つぎつぎに。
4. ならぶ、順序にしたがう、ついで、序列、そのならぶところ。
5. (し)と通用し、やどる、軍がやどる。は軍の駐屯地に標木を立てた形。陣屋、かりにやどる。
6. 旅のやどり、やど、たび、そのとき、あいだ。
7. そのほとり、かたわら。

[古辞書の訓]
名義抄 ツギ・ツイデ・ヤドル・タスク・ワタル・ナホ・ナゲク・ナラフ・ヒラク・ナミ・タツ・ヨシ・ツグ・ヒヒル・トル・トドマル/取 ミダリガハシ/ シバラクモ・ニハカニ/ ツキナミ

[声系]
〔説文〕に声として茨・咨・(資)・恣・など十三字を収める。茨・咨・恣・は、の本義を承ける字である。(ししよ)、前(すす)まぬ意であるが、二字合わせて形況の語である。

[語系]
tsyeiは咨・恣・tzieiと声義近く、の声義を承ける。茨・dzieiは多くのもの、それを相次第するような意がある。卜文に軍の駐屯するところをといい、おそらく朿(し)・刺tsiekの声の字であろう。は相通じ、軍の次(やど)る意に用いる。

[熟語]
次韻・次宴次兄次午・次公・次功・次行・次国・次骨・次妻・次止・次次・次舎・次且・次緒・次序次叙・次賞次乗・次数・次席・次息・次第・次置・次伝・次配・次比・次妃・次布・次浮・次副・次分・次列・次路次輅次郎
[下接語]
亜次・以次・位次・一次・越次・階次・館次・久次・居次・胸次・語次・功次・校次・高次・今次・差次・座次・歳次・師次・失次・舎次・爵次・取次・順次・序次・条次・辰次・数次・世次・席次・次・選次・漸次・草次・造次・即次・第次・逐次・秩次躔次・伝次・途次・同次・道次・年次・排次・班次・比次・不次・分次・次・編次・目次野次・旅次・倫次・次・累次・類次・列次・路次

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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