欄楯(読み)らんじゅん

精選版 日本国語大辞典 「欄楯」の意味・読み・例文・類語

らん‐じゅん【欄楯】

〘名〙 てすり。らんかん。らんじゅ。
文華秀麗集(818)中・奉和春閨怨〈菅原清公〉「怨婦含情不寐。早朝褰幌出欄楯」 〔阿彌陀経

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改訂新版 世界大百科事典 「欄楯」の意味・わかりやすい解説

欄楯 (らんじゅん)

インド文化圏で,ストゥーパ,聖樹,その他の聖域を囲うために用いられた玉垣サンスクリットのベディカーvedikāの訳語。直立させた柱stambhaを普通は3本の貫(ぬき)sūcīでつなぎ,上端に笠石uṣṇīṣaをのせる。遺品はすべて石造であるが,その形態からもとは木造であったと考えられる。ストゥーパに用いられたものが大部分で,前2~後3世紀には表裏とも浮彫で飾る例が多く,バールフット,サーンチー第2塔,ボードガヤーアマラーバティーのものがよく知られている。ガンダーラではごく初期にのみ用いられた形跡があり,インドでも4世紀以後の遺品は少ない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「欄楯」の意味・わかりやすい解説

欄楯
らんじゅん
vedika

インドでストゥーパやその周囲の神聖な場所を,俗界の地と区別するために設けられた玉垣,柵。本来は木柵であったものが,石造に移行したと考えられる。欄楯は通常,周囲を円形または方形に,四角ないし八角に面取りした欄柱で囲み,最上部に笠石をさし渡し,その下に貫石で3段に各欄柱を連結している。普通四方塔門が設けられているが,サーンチー大塔のように塔門にのみ浮彫を施す場合と,バールフットの欄楯のように,塔門ばかりでなく欄柱や貫石の側面まで多くの浮彫で飾る場合とがある。

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世界大百科事典(旧版)内の欄楯の言及

【ボードガヤー】より

…〈ブッダガヤーBuddhagayā〉,またその音写〈仏陀伽耶〉の名でも知られる。釈迦がその下で悟りを開いた菩提樹を欄楯で囲み菩提道場としたのに始まり,大精舎(マハーボーディ,大菩提寺)の創建はグプタ時代(5~6世紀)であろう。現在の方錐形の大精舎(高さ約52m)は,1870年代の末から数年かけてビルマ(現ミャンマー)の仏教徒が大改修したもの。…

※「欄楯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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