檀林(読み)ダンリン

デジタル大辞泉 「檀林」の意味・読み・例文・類語

だん‐りん【×檀林/談林】

《「栴檀林せんだんりん」の略。僧の集まりを栴檀の林にたとえたもの》
仏教僧徒の学問修行の道場。室町末期から行われ、江戸時代浄土宗関東十八檀林は有名。
異称
談林風」「談林派」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「檀林」の意味・わかりやすい解説

檀林
だんりん

江戸時代の僧侶(そうりょ)の学問修道場。学林、僧林、栴談林(せんだんりん)とよんでいる。1602年(慶長7)設置の浄土宗の関東十八檀林が有名であるが、もちろんそれ以外の各宗にも設置されている。たとえば日蓮(にちれん)宗は天正(てんしょう)年間(1573~92)の初め下総(しもうさ)(千葉県)飯高(いいだか)檀林を開設したが、その後に一致派十一檀林、勝劣派六檀林を設置している。天台宗は関東十檀林を設立、曹洞(そうとう)宗は1688年(元禄1)江戸吉祥寺(きちじょうじ)を創設して檀林とし、さらに真言宗では田舎(いなか)檀林と称し各地に檀林をつくった。たとえば水戸(みと)藩では、真言宗は四檀林として領内の本寺格の寺、光明(こうみょう)院、宝鏡(ほうきょう)寺、六地蔵寺、一乗院をあてている。日蓮宗は1683年(天和3)久昌(きゅうしょう)寺檀林を設けたが、ここは水戸藩主徳川光圀(みつくに)の保護が厚く、諸宗派の僧に開放され水戸檀林として名高かった。天台宗は1697年(元禄10)薬王院を檀林としている。このように檀林の成立には、幕府が設置したもの、藩が設置したもの、宗派内の要請によるものに大別されるが、いずれもその目的が僧侶の養成機関であったことは変わりない。

[圭室文雄]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「檀林」の解説

檀林
だんりん

栴檀林(せんだんりん)の略。仏教諸宗派の学問所や僧侶の養成機関。鎌倉時代の禅宗寺院に由来するが,とくに江戸時代以降の各派のものをさす。なかでも浄土宗鎮西義の関東十八檀林は,徳川家康の命により増上寺を統轄寺院と定められて大いにふるった。曹洞宗の江戸吉祥寺内にあった旃檀林も卍山(まんざん)道白などの俊秀を輩出し,日蓮宗は下総に飯高寺談林,京都に松ケ崎談林ができて盛んになった。浄土真宗の学林,天台宗の学寮なども知られる。

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普及版 字通 「檀林」の読み・字形・画数・意味

【檀林】だんりん

寺。

字通「檀」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の檀林の言及

【学林】より

…江戸時代に仏教各宗派で設立した僧侶の教育機関で,学寮,談林,檀林などとも呼ばれた。江戸幕府は各宗の法度(はつと)で宗学研鑽のための就学を義務づけたが,また各宗でも宗学を中心とする仏教研究が急速に発展し,住職となるために一定期間学林などで学ぶことを求めた。…

【談義】より

…本来は仏法の法義を談ずることで,ディスカッションであったものが,一般民衆に説法する意味になり,法談とも文談ともよばれた。法義の論談講義の場所は談義所または檀林とよばれたが,説教談義ははじめ法会の会座でおこなわれた。法然の円頓戒談義や東大寺の法華義疏談義は,それぞれの法会にちなんだ談義であった。…

※「檀林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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