機関紙
きかんし
政党、団体、グループなど公的な事業活動を目的とする組織が、その構成員に対する意思の伝達、内部の連絡、あるいは外部に向けてその主義・主張を教宣するために発行する定期刊行物またはそれに準ずる印刷物の総称。ヨーロッパでは、前近代的政治権力とそれに対抗する近代的政治団体とが互いに印刷物によって外部への働きかけを行うようになった17、18世紀ごろから機関紙活動が始まったが、20世紀に入り、社会主義政党やグループがその役割をとくに重視したので、発行が活発化し、現在に至っている。日本では、明治10年代から政党機関紙の萌芽(ほうが)がみられたが、第二次世界大戦後、民衆の政治参加が活発になるに伴い、各政党、労働組合、宗教団体などが、ほとんど機関紙をもつようになった。さらに近年は、市民運動をはじめ各種のグループによるサークル機関紙の発行がますます増加する傾向である。
[高須正郎]
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機関紙
きかんし
organ
政党,団体または労働組合などが,自己の政策や主義,主張を,主として大衆に宣伝するために発行する定期刊行新聞。またその構成員に対する意志伝達や相互コミュニケーションの手段としても利用される。かつては組織の主張を全面的に押出した硬い内容のものであったが,最近では読ませることに重点をおいたソフトな内容となっている。
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きかん‐し キクヮン‥【機関紙】
※東京日日新聞‐明治三〇年(1897)一月五日「
進歩党の機関紙は頻に二伯の
提挈を
伝唱し」
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デジタル大辞泉
「機関紙」の意味・読み・例文・類語
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きかんし【機関紙】
党派や労農団体などが発行する定期刊行物。歴史的には社会主義党派の機関紙が最も多く論じられてきた。古典的にはレーニンがロシア社会民主労働党の機関紙《イスクラ》の発行を理論づけた論文が知られる。ここに単一の強固な党の建設と機関紙配布者網を通じて同調者を獲得し,影響を広めていくという機関紙の原型ができあがった。ことに配布網を重視するという思想は,組織がまだ若く,旧体制の抑圧機構が強力であったという事情に加えて,媒体の組織化の機能にレーニンが早くから気づいていたことを示している。
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