機械編(読み)きかいあみ

精選版 日本国語大辞典 「機械編」の意味・読み・例文・類語

きかい‐あみ【機械編】

〘名〙 機械で編むこと。また、その編んだもの。〔日本メリヤス史(1910)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「機械編」の意味・わかりやすい解説

機械編
きかいあみ

編物のうちで、手編に対して用いることば。能率的な機械力を応用し、その効果をねらったもので、職業用機械と家庭用手編機に分かれる。職業用機械には、緯(よこ)編機と経(たて)編機があり、緯編機は、丸編機(円形)、靴下編機(円形)、横編機(平形)、コットン式編機などに分類される。経編機は、トリコット編機ラッセル編機、ミラニーズ編機、特殊経編機などがあり、いずれも手動式と動力式がある。現在ではほとんどがコンピュータ制御による機械が使われ、ニットの生産量は年ごとに増大している。家庭用手編機も、その性能が著しく高められ、各種の模様が簡単な操作で編めるようになった。

 機械編のおこりは、16世紀イギリスにおける足踏式靴下編機で、ノッティンガムの牧師ウィリアム・リーのひげ針発明によるものである。この編機は、産業革命の胎動とともに、ヨーロッパ各国に広まり、産業革命がヨーロッパ全土を大きく包んだ18世紀にマッシュー・タウンゼントがベラ針を発明し、これによって機械編は画期的な発展を遂げることになる。一方日本では、明治初めに手回し式靴下編機を輸入したのが契機となり、軍用品の需要によりメリヤス産業が急速に伸びた。家庭用編機の発展途上でそのきっかけとなったのは、1923年(大正12)に萩原(はぎわら)まさ(1883―1974)によって発明されたガータ編器である。

 職業用機械は、作品の用途や素材の太さによって機械を使い分けるが、家庭用編機は、編目調節ダイヤルにより、細糸から太糸まで1台の編機で編むことができる。また針と針の間隔ピッチ)をあけた太編機を用いることにより、手編の風合いを出す編機もある。

[河合貴代美]

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